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ゼノサーガ エピソードI 力への意志 ・要約版(ゼノサーガシリーズ全体の要約):要約スレpart3-23,112,114~118 ・詳細版:part12-594~610, 14-32~41 23 :ゲーム好き名無しさん:2008/12/26(金) 19 41 05 ID j1iAV0OwO ゼノサーガシリーズ 人々の拒絶し合う精神や、ウ・ドゥと呼ばれる高次元の波動とかの影響で 宇宙は一般人の知らないところで徐々に崩壊しており そのうち滅亡を迎えるのがほぼ確実になっていた。 有史以前から生きてる超人ヴィルヘルムは、宇宙の滅亡は不可避だと結論し アンドロイドKOS-MOSを造って古代に居た「マリア」という能力者を復活再現しようとする マリアの能力を利用すれば滅びかけた宇宙を原初までリセットすることができるのだ。 リセットしても記憶を失った人類は同じ歴史を辿ってまた滅亡に向かうのだが 滅びそうになるたびに再びリセットする「永劫回帰」という無限ループにすることで 未来が無いかわりに宇宙を延命できるのだという。 あるいは既にこの宇宙も、 何回も、ひょっとすると何千回以上もループした後の宇宙なのかも知れなかった。 冒険の中でKOS-MOSは覚醒を果たすが、今までのループとわずかに違い、 単なるマリアのよりしろでもプログラムに縛られた機械でもなく、 自分の意思を持ったKOS-MOSという一存在として成長する。 KOS-MOSはヴィルヘルムの意図に反し、閉じたループではなく、 仲間達と共に未来に進み崩壊を避ける道を模索することを選ぶ。 KOS-MOSが離反したことで暴走した強制リセット装置(ラスボス)を叩いて止めて 崩壊の中心を宇宙の僻地に隔離封印する事で滅亡までの時間を引き延ばすことに。 ワープ封印には成功するがKOS-MOSは大破し、いつか仲間と再開することを信じて ワープ先で長い長いスリープモードに…。 生還した仲間達はそれぞれのやり方で崩壊を阻止するために行動を開始。 幾人かはKOS-MOSのワープ先の星… かつて「地球」と呼ばれた星を探す果てしない航海に旅立つのだった。 …KOS-MOS関係とラストバトル周り「だけ」でこれだよ 各キャラ各勢力各設定とかちゃんと説明したらどうなるんだ… 112 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 17 15 47 ID j2QXEqlJ0 23のゼノサーガを書いた者なんだが、これ一応、事の真相ではあるんだけど これが明らかになるのがEP3の終盤なんで「あらすじ」っていうのとは違う気がしてきた。 EP1の前半だけ見てからこれを読むと 「この展開からどうやってこんなのに繋がるんだ・・・」って気分になるかもしれないと思った。 一応ゲーム展開のあらすじという方向でも纏めてみたんだが、要ります? できるかぎり要約した割にかなり長くなってしまったんだけど 114 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 55 07 ID j2QXEqlJ0 んじゃ行きます ゼノサーガ パイドパイパー (携帯アプリ) 人類が、とある災厄に見舞われて地球を脱出して数千年(本編の約百年前) 情報送信だけでなく物質の転送や仮想空間の構築、超光速航法も可能にした超空間ネット 「ウーヌス・ムンドゥス・ネットワーク(略称U.M.N.)」の恩恵を受け人類は暮らしていた。 だがアブラクサスという惑星で、U.M.N.仮想空間内で人が連続して殺される怪事件が発生。 星団連邦警察の対テロ隊長ジャンは「ヴォイジャー」を名乗るテロリストの犯行と見て調査を進める。 ついにヴォイジャーの正体を突き止めるがそれはジャンの身近な人物だった。 ヴォイジャーは様々な超常現象を起こす無限エネルギー物体「ゾハル」を使うために ゾハルにアクセスできる因子を持った人間の脳内情報を集めていたのだ。 目論見それ自体は失敗するが、ヴィルヘルムに資質を見出され 物理的に死なない不滅の存在テスタメントの一体に変貌するヴォイジャー。 逃げ場も勝ち目も失い家族も殺されたジャンに、ヴォイジャーは自分の仲間になるか、 それとも戦って死んで今までの被害者のように精神をコレクションされるか、という選択を迫る。 だがジャンは第3の選択として、自棄でも逃避でもなく、 自分の意思と人間としての尊厳を守るために自らの命を絶つのだった。 しかし後に、優秀な能力を持つジャンの遺体は サイボーグ体「ジグラット8(通称ジギー)」として意に沿わぬ形で目覚める・・・ 本編に続く。 本編中でのジギーは、大切なものを守れぬまま死も許されず存在し続ける苦痛に、意識をも機械化することを望むが 新たな仲間達との触れ合いにより人としての意思の在り様を再び見つけ出す。 そして犠牲を払いながらもついにヴォイジャーとの決着をつけ、 今度こそ大切なものを守り続けて生きていく事を誓うのだった。 115 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 56 13 ID j2QXEqlJ0 ゼノサーガ EP1 ヴィルヘルムがCEOを務める大企業ヴェクター、化粧品から戦艦まで扱う世界規模の一大コングロマリット・・・ そこに所属する若き女技術者シオンは、今は亡き恋人の天才科学者ケビンの研究を引き継ぎ、 人類を襲う謎の敵「グノーシス」に対抗するアンドロイドKOS-MOSを開発していた。 しかし乗っていた宇宙船が襲われ、グノーシスに接触され死にかけるシオン。 だが起動命令も出していないのに何故かひとりでに目覚めたKOS-MOSによって助けられる。 船を脱出したシオン達は、成り行きで(・・・に見えるが実は運命に仕組まれて) モモというレアリエン(労働用人造人間、アンドロイドと違いナマの生物で、明確な感情がある)達と出会い、 そのモモの脳内に封印された、ゾハルや超技術について記された「Y資料」というデータを狙う宗教結社オルムス (の一部であるU-TIC機関)や狂気の不死人アルベドとの戦いに巻き込まれていく。 感情を見せず、時に残酷な振る舞いをしたり、稀に仕様書には無い奇跡のような謎の力を発揮するKOS-MOS。 それらの行動や、KOS-MOSデータ内面世界に不可思議な領域があるのを垣間見て、KOS-MOSへの不安を抱くシオン。 だがKOS-MOSに幾度と無く助けられたこと、創り手としての愛情、亡きケビンとの絆を確認したい、との思いなどから、 シオンはKOS-MOSのことをもっと知りたい、共に生きたいという思いを強くするのだった。 116 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 57 00 ID j2QXEqlJ0 ゼノサーガ EP2 グノーシスを打破するため、U-TIC機関にゾハルを渡さず確保するためにも、モモ内部のY資料を解析しようとする。 だがアルベドによって仕掛けられた論理トラップによってY資料は流出してしまう。 ゾハルが封印された惑星ミルチアへのルートが明らかになり、各陣営は一斉に動き、 ミルチア宙域では熾烈な戦闘が展開されるが、 最終的にゾハルはオルムスの教皇セルギウスの手に落ちる。 神の遺物と呼ばれる超技術で造られた、破壊兵器プロトオメガをゾハルの力で起動させ、 圧倒的な力を振るうセルギウス。だがセルギウスには高邁な理想は無く、矮小な我欲しかなかった。 その意思の小ささに、ヴィルヘルムはテスタメント達を遣わしセルギウスを処分する。 そこを横からかっさらうようにアルベドがゾハルを手に入れる。 シオン達の仲間の一人、ルベド(通称Jr.)はかつて、 特殊能力を持った兵器という役割で遺伝子操作されアルベドと共に産まれた。 兵器として死ぬことから逃れようとしたJr.は結果的に兄弟達を見捨てることになってしまったことを悔やみ続け、 アルベドとJr.は互いに愛憎入り混じる複雑な感情を抱いていた。 Jr.はゾハルの力で変容したアルベドの元に単身乗り込み、因縁の戦いに終止符を打つ。 実はアルベドの望みはJr.の手で死ぬことだった。今際の際に和解する二人。 だがゾハルは何処かへと消えた。ヴィルヘルムが笑みを漏らす・・・ 117 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 58 01 ID j2QXEqlJ0 ゼノサーガ ミッシングイヤー 今までとは違うパターンのグノーシス被害が出始める。 本来なら群れても統率はされていないはずのグノーシスが秩序だった動きを見せ、 都市部に被害が集中し、そして短時間急襲した後にはすぐ消えてしまうのだ。 グノーシス・テロと呼ばれる一連の現象の裏にはグリモアという数千年前に死んだはずの男の存在があった。 グリモアはまだ人類がロスト・エルサレム(地球)に居た頃に人間を使ってゾハルを操る実験をしていた研究者であり、 その実験で娘を消滅させてしまっていた。 実験で使われたゾハル制御プログラム「レメゲトン」を復元すれば娘を復活させられると信じたグリモアは、 精神データとなってヴェクターの最重要データ区画に潜み、数千年の時を経て行動を開始したのだ。 レメゲトンが発する波動「ネピリムの歌声」に引き寄せられるグノーシス達を誘導し、 断片化してU.M.N.内に四散してしまったレメゲトンを集めていたグリモア。 だが世界をグノーシスの危機に陥れかねないその暴挙はシオン達によって止められる。 しかしシオンは自分の所属するヴェクターの上層部がグリモアを援助していたこと、 この事件の一因となった14年前の非道な人体実験に自分の父が関っていたこと等を知ってしまい、 やがて不信と苦悩からヴェクターを退社して独自の調査を始める事になる。 118 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 58 49 ID j2QXEqlJ0 ゼノサーガ EP3 自覚はなかったが、シオンは無意識の内にゾハルにアクセスする強い能力を持っていた。 テスタメント達は過去の惨劇を目の前で再現する精神攻撃を仕掛け、無理矢理シオンの能力を引き出す。 シオンの悲鳴に誘われ、ゾハルが姿を現す。 グノーシス、オルムス、Jr.達の親のユーリエフ・・・ゾハルを求める各勢力が集結し終末的な争いを繰り広げる。 戦いの中で一人ひとり過去を清算し、因縁に決着をつける仲間達。 だがそれらは全てヴィルヘルムの手の上の出来事だった。 ゾハルの稼動で加速度的に被害を増すグノーシス現象。 グノーシスの正体はゾハルの波動を受け、恐怖から他者や世界を拒絶した生命の成れの果てだという。 拒絶し合う意識はグノーシスとなって人類を殺すだけではなく、やがて宇宙の構造そのものを散逸・崩壊させる。 そうなる前に全てを始まりに戻す「永劫回帰」に必要な因子を、ヴィルヘルムは漁夫の利で集めていた。 シオンの能力は「マリアの巫女」と呼ばれた女性の再来であり、マリアの力を引き出す触媒だった。 シオンがKOS-MOSの開発を引き継いだのは、KOS-MOSをマリアとして目覚めさせるために全て仕組まれたことだったのだ。 目の前で両親や親友が惨殺される光景を再び見せられたり、能力の副作用で死ぬと宣告されたり 宇宙の崩壊の一因は自分にあると突きつけられたり、死んだはずの元恋人ケビンがテスタメントになって敵側に居たり、と 精神的にボロボロになったシオンは誘導されるがままKOS-MOSを目覚めさせ、ヴィルヘルムやケビンに操られかける。 果たして宇宙はどうなるのか。人々の魂すら失われる完全な崩壊を迎えるのか、 それとも同じ歴史・同じ日々を延々と繰り返す世界になるのか・・・ あとは 23に続く 594 名無しさん@お腹いっぱい。 sage05/02/2802 46 14ID cMIoi3AX すいません、いっぺんにのせてくれるとありがたい。 と意見がありましたが、凶悪的なほど長文になる恐れになってきまして、 分けて載せていくことにします。ご期待に沿えず申し訳ございません。 できるだけ短くしよう、短くしようと頑張っているのですが、 ゼノサーガは物語の伏線が多すぎて、最初を詳しくしないとさっぱり意味がわからないのです。 ですので、最初は詳しく、後半は簡潔に行こうと思います。 ゼノサーガ特有の意味がわからない用語は出来るだけ省き、わかりやすい用語に差し替えました。 何度も出てくる難しい用語はそのままにしてあります。長文になることをご了承ください。 595 Xenosaga Episode1 sage 05/02/28 02 47 35 ID cMIoi3AX Xenosaga Episode 1 ~Der Wille Zur Macht~ 時にAD20××年。 ケニア北部、トゥカルナ湖で古代遺跡の発掘が行われていた。 発掘員隊長、マスダは、現代の全ての事象の根源であるゾハルを発掘した。 ゾハルは光を放ち、その光は雲を貫き、空へと向かっていった。 全てはここから始まる。 596 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 48 57 ID cMIoi3AX 1 ~4000年後~ ゾハルの発掘のあと、大規模な人の消失事件が発生した。 生き残った人々は移民船に乗り、宇宙へ旅に出た。 移民先を見出す数百年かかり、最初の移民惑星を「セカンド・イェルサレム」と名付けた。 だがしかし、人はそこで戦争を繰り広げ、過ちを犯し続け、いくつかの主星を失い続けた。 現在の主星はフィフス・イェルサレム。この星に、ようやくひとつの国家的統合を達成する。 星団連邦政府所属、巡洋艦ヴォークリンデ。館内のKOS-MOS研究室では、研究員たちが慌しく働いていた。 KOS-MOS(以下、コスモスと呼ぶ)・・対グノーシスヒト型掃討兵器である彼女・・・。 その彼女を開発している部署の主任であるシオン=ウヅキは起動実験を始めた。 シオンは技術開発者としてのプライドと、主任としての立場。 そして、コスモスが兵器として使われることへ悲しさを持っていた。 「これより起動実験を開始します。インターコネクション、始めてください」 シオンは起動実験をするための装置に座った。 その起動実験とは、仮想空間にシオンを送りこみ、そこでコスモスのデータを取るというものだった。 「ゲージパーテイションを解放します。解放まであと60秒。59,58,57・・・。」 「各モニタリング正常。」 「パーテイション解放。コスモス、素体形態に入ります。」 597 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 50 24 ID cMIoi3AX シオンが仮想世界に入った。ただ少々視界が悪い。 「アレン君、視覚の接続状態が悪いみたいなんだけど・・・。」 「あぁ、すいません。ちょっと待ってください。今、補正します。どうです?主任。」 コスモス開発局副主任であるアレンが答えた。 アレンはシオンに淡い恋心を抱いていて、毎回のこの実験ではソワソワしている。 なぜかというと、この実験中に事故がおこると、シオンが仮想世界から帰ってこれなくなってしまうからだ。 世界が一瞬光に包まれ、コスモスが仮想世界に降り立った。 「おはよう、コスモス。調子はどう?」 「おはようございます、シオン。すべて非常に順調です。」 機械的な、無感情な返事が響く。 「せっかく起きてもらって悪いんだけど、今回も起動実験なの。一連のチェックを終了したら、 あなたにはまた眠ってもらうことになるわ。」 「そうですか」 「悲しいとか・・・感じる?」 その機械的な対応に少し寂しさを感じたのか、シオンは親しみを込めて話しかけた。 「私の寛恕言うプログラムは、創造主である人間が使いやすいように作られています。 今回の場合は、あなた・・・。すなわち、ヴェクター第一開発局、コスモス開発計画担当主幹技師、シオン=ウヅキとの 関係を円滑に保つために、「悲しい」という感情を表現する必要がある。と私のプログラムが判断した場合に限り、 そのように振舞います。ですが、現在、その必要はない。と判断します。」 「ははは・・・そうよね、それは私が一番知っていることなのよね。」 複雑な表情を浮かべた。 「ご理解いただけて幸いです。」 コスモスの機械的な言葉が仮想空間に響く。 シオンは、再度複雑な表情を浮かべた。 598 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 52 42 ID cMIoi3AX 今回の実験は、仮想世界におかれた仮想の敵を倒し、コスモスの戦闘データを取るというものだった。 「ねぇ、アレン君。今回は手順400を初めてみないかしら?」 「よ、400って、主任、先月のことを忘れたわけではないでしょう? あと10秒対応が遅れてたらそこから戻ってこれないような状態じゃなかったですか。」 シオンのことを心配するアレンは、声を荒げた。 「大丈夫、いざとなったら自力で脱出するから、それに、あなただって試したいでしょう? この実験のために、徹夜でいろいろ取り組んでたじゃない。」 「それはそうですが・・。」 「じゃ、決まり。始めて。」 シオンに興奮の色が隠せない。これから起こることに何かを期待しているかのように。 「知りませんよ?万が一の時にはこっちで強制的に切りますからね。」 「了解、了解。」 「あと、メニューにないことするのなしですよ?」 「わかってるってば。」 「んったく、気軽にいってくれちゃて。そのたびに寿命をちじめられるこっちの身にもなってほしいよ」 アレンは頭をかきむしりながら、シオンに聞こえないように、ぼやいた。 「副主任、ウヅキ主任のことになると、特に気を使われますからね。もう余命幾ばくもないんじゃないですか?」 研究員がアレンをからかった。皆、アレンの恋心に気づいているようだ。 「う、うるさい、余計なこといってないで、用意できてるのか?少しでも異常があったら、即刻強制終了するからな。」 手順400が始まった。状況は順調で、研究員たちも安堵の表情をうかべた。 「特に変わったことは見わたりません。状況、安定しています。こりゃあ行けますよ。先月の汚名、返上だ」 「だといいがな・・。」 不安げに、アレンがつぶやいた。 「コスモス、クリアポイントに到着。ターゲットモンスター、G型へ変換。表示、始めます。」 コスモスの前に、巨大なモンスターが現れた。コスモスが戦闘態勢に入る。 599 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 54 30 ID cMIoi3AX そのとき、プログラムに異常が発生した。コスモスの戦闘能力が過剰に上昇し、暴走しかけているのだ。 だが、シオンはそのような状況をものともしなかった。 「アレン君、これからターゲットとの戦闘態勢に入ります。データ取りよろしく。」 「そんな!?主任、こんな不安定な状況で戦闘なんて危険すぎます!」 アレンは声を荒げた。 「大丈夫、まだいけるわ。ヒルベルトを試します。」 「しゅ、主任、メニューに無い行為はしないって・・・!!」 シオンはその言葉を無視するかのように、コスモスに話しかけた。 「コスモス、ヒルベルト発動。」 「了解しました。ヒルベルトエフェクト発動します。」 プログラムが暴走し、シオンの脳が危険な状態になってきた。 アレンはプログラムを強制停止させ、シオンを引き戻そうとした。 だがしかし、シオンがそれを拒絶し、プログラムが作動しなかった。 「限界です!崩壊まであと10秒・・・。」 「クソったれ!」 アレンは悲痛ともとれる叫び声をあげた。 「主任・・・。・・・そうだ・・・。」 仮想空間にいるシオン。 彼女の前に、光が集まってきた。その光はやがて少女のような人影へと変わっていった。 少女はゆっくりと顔をあげ、シオンと視線を交わした。 そのとき、仮想空間へダイブしたアレンがシオンの手を掴み、仮想世界から引き戻した。 仮想空間は光に包まれていく・・・。 600 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 56 17 ID cMIoi3AX 「主任はっ!?」 目覚めたアレンは、シオンの元へ急いで駆けつけた。 「えぇ、ありがとう、少し、粘り過ぎちゃった・・かな?」 あの仮想空間で見た少女は何だったのか。シオンは夢見心地だった。 ・・・あの少女とは・・どこかで・・。 「??何かあったんですか?」 「ううん・・・何でもないの。さぁ、急いでデータ解析を始めましょう。そろそろ上から催促がくる頃だわ。」 「本艦は3分後にゲートアウトします。非常時に備えてください。」 突然、艦内アナウンスが鳴り響いた。 601 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 58 04 ID cMIoi3AX 2 「全艦、ゲートアウト完了。」 「次のゲートジャンプができるまで7時間36分。それまでジャンプは不可能になります。」 「次で最後か・・・。」 艦長と思える人物が虚空を目上げた。目に落ち着きが無い。 「はい。次のゲートジャンプとなります。あと少しの辛抱です。」 艦長の横に立っている男が言った。 見た目は普通のマジメそうな30後半の男だ。その鋭い眼光を除いて。 「大丈夫ですよ。ここまでくれば接触率低いですし。それに小惑星も多いですから、”ヤツラ”から 身を隠すには都合が良いものです。」 「ふん、気楽なものだな。小惑星なぞ、気休め程度にしかならんぞ。」 男は、声を沈めオペレーターを睨んだ。 「厳しいな、アンドリュー中佐。何かあったのか?」 「いえ・・・別に・・・。」 アンドリューという名の男は下にうつむきいた。 「例の物体を回収してから緊張の連続でしたからね。中佐のお気持ち、わかります。」 その”例の物体”に疑問点を持っていたのか、一人のオペレーターが質問した。 「艦長、差し支えない範囲で結構なので教えていただけないでしょうか? 当初の作戦の目的は、惑星消滅事件の調和および調査隊の護衛であったはずです。 それが、”あの物体”を回収してから様相がいっぺんしたように感じられます。 いったいなんなのですか?あれは。」 「さて、調査隊からは何の報告は受け取らんよ。ただ、先日伝えた”ヤツら”もあの物体を狙っているらしい。 という情報だけはえている。もちろん非公式だがね。」 艦長は、私もよくわかっていない。という表情をしている。 「回収のさい、何名かの犠牲者が出たという噂がありますが。」 「それが事実だとしても、われわれに知る権利がない。もともと調査隊も我々とは別の命令系統で動いているし、 我々に与えられた命令書にも『当該宙域にて何らかの”回収物”が存在した場合、全ての事象よりもその確保を最優先す』 と書かれているだけだ。」 「全ての事象・・・といいますと?」 「我々の命よりも。というわけだ。」 アンドリューが言い捨てた。 「そう脅すな。まぁ、星団連邦政府にしても今回の任務はそれだけ重要な作戦ということだろう。 気を引き締めて頼むぞ。」 艦長が微笑みながら皆に言った。 「そうですね。本艦には”有事の際の切り札”も配備されていることですし。」 「おぉ、そうだ。切り札のことなんだが、すまんが中尉、ウヅキ主任に報告データが整い次第、 ブリッジに来るように伝えてくれ。それと、これまでのデータも提出するように・・と。」 「了解しました。」 602 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 00 04 ID cMIoi3AX 3 コスモス研究室に電話がかかってきた。 「・・・・了解しました。30分後にそちらに出頭します。」 「早速きましたね。出頭命令」 「でしょ?私の勘って、結構当たるんだから。」 シオンが得意気に答える。 「では、これは提出するデータです。」 「ありがとう。これだけでいいわ。」 最近入ったばかりの新人研究員がシオンに声をかけた。 「主任・・あの・・・よろしいですか?」 「なに?」 「軍はコスモスの実働データを求めています。いいのですか?いつまでもシミュレートデータだけで。」 「うーん、、それ言われると痛いんだけどね、、。でも、出来ることならコスモスには いつまでも素敵な夢を見ていてほしいんだ。」 シオンは困ったような表情をしている。目も下にうつむいている。 「シミュレートではあれほど無茶をされるのに、なぜ実働となるとあれほど慎重になるのですか? 自分はコスモスが稼動している姿が見たいのです。現状で十分いけるはずです。」 シオンの困った表情を見て、アレンが口を挟んだ。 シオンは、2年前の事故があってから、実働には慎重になっているのだ。 アレンはそのことを知っているし、何より、彼女の困った顔を見たくなかった。 「現状でわざわざお姫様を起こさす必要はないよ。はいこれ、コスモスの装備要項。 連中を納得させる一助にはなるでしょ? 「サンキュー。気が利くね。」 アレンの助け舟にありがたく思ったのか、シオンはアレンに微笑んだ。 「じゃ、いってきまーす。」 笑顔で研究室を出て行くシオン、それを見るアレンの顔は、どこから見てもほころんでいる。 「世話女房ぶりも板についてきたんじゃないですか?副主任。」 同僚のトガシがにやつきながら研究所の後片付けをしている。 「な、何にやついてるんだよ、トガシ。」 顔を赤らめながら、アレンはシオンのデスクの片付けを始めた。 そこには肝心のデータフォルダが忘れられておいてあった。 「はぁ、、またか・・しかたないな・・。」 だが、アレンは少し喜んだ。二人きりになる口実が出来たからだ。 その感情が顔に出たのか、トガシがからかう。 「よかったですね。二人きりになれる口実ができて。ついでに食事でも誘って見ちゃどうです? こっちは僕らでやっときますから。」 「行くとき行かなきゃ、ダメですよ、副主任。」 「そ、そんなつもりじゃないって言ってるだろう!じ、じゃ、ちょっと渡してくるよ。」 舌をかみながら、アレンは言った。 「がんばってー。」 同僚たち一同の声が聞こえる。アレンはその声を聞きながら研究室を出た。 彼は奥手だ。シオンのことは愛しているはずなのに、言うことができない。 そんな彼はぼやく。 「僕だって・・行けるもんなら、行きたいさ・・。」と。 603 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 01 52 ID cMIoi3AX 4 シオンはブリッジへの道を歩いていた。その途中にある格納庫。そこにはゾハルがあった。 彼女は格納庫を通りながら、考えていた。やはり、みんな稼動してるコスモスを見たいのか。 2年前の、彼もそういっていた・・・。 2年前のコスモス開発局 シオンは残って残業をしていた。あしたまでにまとめておくデータがあったからだ。 パソコンに向かう彼女の後ろに、男性の姿があった。 「まだ残っていたのかい?無理して体壊しちゃ、何にもならないぞ?」 微笑みながらシオンに話しかけた。手には手包みをぶらさげている。 「あ、お疲れ様です。明日までにどうしてもまとめておくデータがあったものですから。 ゲビン先輩こそ、こんな時間までどうなされたんですか?」 「はい、差し入れ。」 ケビンは彼女の横に手包みを置いた。そして、コスモスの眠っている特殊な装置のほうへ歩いていった。 シオンもその後に続く。何も警戒しないということは、彼女は彼に心を許しているということだろう。 ケビンはその装置を見ながら、つぶやいた。 「実は、ある悩み事があってね、寝付けないんだ。」 「悩み事?」 「明日、いよいよ彼女は目覚める。その姿を見るのはとても楽しみなんだけど。目覚めた彼女になんと声をかけたらいいのか それで悩んでいたんだ。おかしいだろう?」 「おはよう・・・でいいんじゃないですか?」 シオンは微笑んだ。そしてコスモスの眠っている装置を触った。 「おはようかい?」 「朝起きたら、やっぱりおはよう、ですよ。」 「そうか・・・これでぐっする眠れそうだよ。ありがとう。」 ケビンは彼女の肩に手を乗せ、微笑んだ。 ・・・・そうだよね。みんなも早く見たいよね・・・。 シオンは彼との会話を思い出ながら、ゾハルを見上げた。 その瞬間、鈴のような音が鳴り響くと同時に、シオン以外の周りすべてが動きを止めた。 静寂・・・その静寂の中に、再び鈴の音のような金属音が響く。 その音が鳴り響いている源に、彼女は仮想空間で見た少女を見つけ出した。 少女はシオンに何かを伝えようとしているようだが、彼女にはその言葉は届かない。 少女は話し終えると、ゾハルの中に吸い込まれていく。シオンはその後を追い、ゾハルに触れた。 するとゾハルの表面に、水面のように波紋が広がった。 シオンは気がついたら、ゾハルの前に倒れこんでいた。 シオンは手を眺める。ゾハルに触れたことは、幻だったのだろうか・・。 604 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 03 24 ID cMIoi3AX 5 さっきのことは何だったのだろうか?彼女は考え込んでいた。 後ろから声が聞こえる。聞いたような声だ。誰だろう。彼女は振り向いた。 「アレン君!?」 「アレン君、じゃないですよ主任。肝心のデータ忘れていったでしょ? 危ないですよ、ぼーっとしながら歩いてると。」 「うん、ごめんね、ちょっと考え事してたから。」 そのとき、再び鈴の音がした。彼女はあたりを見渡す。だが、少女の姿はない。 「どうかしましたか?主任。」 「ん?うん・・気のせいよね。きっと。」 シオンは気に留めず格納庫を後にした。 しかし、彼女の後ろには二人を見つめる少女の姿があった。 アレンに先ほどのコスモスの件について感謝を言っていると、彼女に突然呼び出しがなった。 レアリエンの調整の呼び出しだ。 レアリエン・・合成人間といわれる彼らは、人間が過酷な環境を克服し、人間のリスクを削減するために 人によって作られた亜人間。彼らは使い捨て可能な労働力として社会に浸透し、 人間によって消費されていた。すなわち、奴隷である。 奴隷としての立場は14年前のミルチア戦争まで続き、その後社会的な権利を有する存在となった。 だが、レアリエンは工業製品であるというのには変わりが無い。彼らは生産されるのである。消費されるために。 そのレアリエンも調整(ケア)される必要がある。自身の自意識が芽生えたり、精神が不安定になることがある。 それをケアするのが、シオンは好きだった。なぜかというと、不安定なままのレアリエンは、廃棄されるからだ。 605 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 05 15 ID cMIoi3AX 6 シオンはレアリエン調整室へと向かった。 「どうも、シオンです。」 「あぁ、どうもウヅキさん、すみません、いつもいつも。」 人のよさそうで、髪をオールバックにしたカスパーゼが話しかけてきた。 目には疲れの色が浮かんでいる。人員不足だろう。 「いいんですよ、カスパーゼ大尉。みんな(レアリエン)にはいつも元気でいてほしいから・・。」 カスパーゼはシオンに今回のトラブルを話した。シオンは着々とトラブルを解決していく。 「一応調整しておきましたけど、また何かありましたらヴェクター本社までご連絡ください。 そちらで本格的なケアをされたほうが良いと思いますから」 「わかりました。ありがとうございます。 しかし、すごいですね。コスモスの開発だけでなく、レアリエンたちのメンタルケアまでこなすとは・・・。」 「そんな、全部上司の受け売りです。それに、私は最初、この部署が志望だったんです。 実は、今の仕事が終わったらこっちに転属願いを出そうかと思っているんですよ。」 シオンは眠っているレアリエンを見つめた。その表情は、眠っている我が子を見る表情に似ている。 「第一開発局は、エリート中のエリートが配属されるところでしょう?それなのに転属願いなのですか?」 「ええ、家族からもよく言われるんですよ。何かの書類ミスに違いない。ってよく言われますし。 私もそう思います。それに、、彼らのこと、もっと知りたいんですよ。」 「そんな連中のことを知る必要もなかろう!?」 声の方向に振り返ると、眼光の鋭い金髪の男がいた。 背が高く、物腰が明らかに軍人と思わせる。彼の顔右頬の皮膚は、色が変わり、硬くなっている。やけどのように・・。 「バージル中尉!?」 カスパーゼが、この突然の来訪客に驚いたようだ。声の調子からも、あまり好ましい客ではないらしい。 「匂いだ・・この匂い。なぁ、あんたも感じないか、この匂い。吐き気を催す匂いだ・・。」 バージルはまるで汚い物を見るかのように、あたりを見回した。 シオンは絶句している。言葉も出ない。 606 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 06 21 ID cMIoi3AX バージルは毎回来ては、何かとレアリエンを罵っているのだろう。 カスパーゼは、声を荒げ、バージルに食って掛かった。 「いい加減にしないか!少佐から事前に指示はあったろう?今回の作戦はA.G.W.Sと 新型レアリエンとの相互支援も目的としているんじゃなかったのか?それをお前は・・・。」 「相互支援だ!?はん!ヤツら相手に、実戦で使える保障なんてない、 ”戦闘用レアリエン”との相互支援なんざ、俺は願い下げだぜ!」 「お言葉ですけど・・・彼ら戦闘用レアリエンは優秀な兵士・・・。」 正気を取り戻したシオンも、バージルへ反論した。 「彼らぁ?たかが備品を人間扱いかい。」 シオンの抗議も、バージルは聞く耳をもたない。 「あ、それ問題発言ですよ。彼らは私たちと同様、知性も感情も備わっているし、 それにレアリエンの基本的人権は4763年に制定されたミルチア懸賞で謳われているはずです。」 「お為ごかしか。反吐が出るぜ。表面上いくら人道主義とっても、お前たちヴェクターの人間にとっちゃ 備品は備品だろうに。否、”商品”か」 バージルは小バカにするようにシオンを見つめた。 「私たちは彼らを備品扱いも、商品扱いもしてません!」 「ならなぜ、”戦闘用レアリエン”なんて、分類ワケがされているんだ? それこそ商品扱いしてる証だろう?何をいったところで所詮は戦の道具。それに知っているぜ。 お前たちヴェクターの人間たちは、”商品管理用の緊急制御コード”があるってな。」 シオンは絶句した。確かに・・ある・・。だが、それは・・・。 そのとき、レアリエンの一人が立ち上がり、バージルを見つめた。 「な、何だよ?」 バージルも突然のレアリエンの行動に驚いたのか、たじろいだ。 「中尉のおっしゃるとおり、確かに我々は”商品”として製造され、そのための教育を施されました。 ですが、私は今のこの”仕事に”誇りを持っています。 それは誰にも強制されない”私自信の意志”なのです」 607 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 09 20 ID cMIoi3AX 以下、余談 すいません、余談です、読み飛ばしていただいても結構です。 このゲームの副題が、力への意思。知ってる人は知ってると思いますが、これはニーチェの本です。 ドイツの哲学者である、フリードリヒ・ニーチェ。 彼は自分自身でたっている人間こそがもっとも美しく、すばらしい人間と考え、 キリスト教を弱者の宗教と言い、「神は死んだ。」という、有名な言葉も残っています。 たぶんこのゲームの作者はレアリエンという人ではない生物をポイントとして、ニーチェ哲学を語ってみたかったのではないでしょうか。 このレアリエンのセリフでもある”私自身の意思”という言葉。人間は弱い存在で、その弱い存在を認めた上で、 自分は過去にも、未来にも存在してはいない。現在にも自分と同じ人は一人もいないし、これからもいない。 「何か。」を成すためにこの世に連れてこられたと、考えた・・はずです。 だからニーチェは、自分の意思で、その目標への苦難の旅へと向かっている人の、なんて美しいことか!とも言っています。 これが俺自身へのニーチェの全体的な感想です。といっても、ニーチェの著者では、私は若き人々への言葉、力への意思しか読んでませんし、 まったくのど素人の解釈ですから、鵜呑みにすると困ります。たぶん解釈も間違ってる気もしますし・・・。 余談が長引きました。本編の続きを書きます。失礼しました。 608 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 14 52 ID cMIoi3AX 「ふん、自由意志ってわけか・・。まあいい、今のうちに享受しておけ。 そのうちわかるときがくるさ。この俺のようにな・・・。」 そう言い捨て、バージルは調整室を出て行った。 「すみませんでした、ウヅキさん。昔はあんな奴じゃなかったのですが、あることがきっかけで・・・ね。」 カスパーゼは申し訳なさそうな顔をして、頭を下げた。 「いえ・・彼とは、お知り合い・・何ですか?」 「あいつとは士官学校の同期でね。腐れ縁ってやつです。・・・ミルチアです。」 「そうですか、それで・・・。あ、いけない。ブリッジに出頭しなければならないのです。 それでは失礼します。レアリエンたちはまた後で見ますから。」 「いや、どうもありがとうございます。すいません、嫌な思いを・・。」 そう言い、再びカスパーゼは頭を下げた。 7 「すいません、遅れてしまって。」 「10分の遅刻ですね。通りで開発も遅れるわけだ。」 アンドリューが、シオンをにらみながら言った。そして、それからアンドリューのシオンに対しての説教が始まった。 コスモスの稼動データがないこと、ここが軍艦であるということに自覚がないシオンに苛立ったのであろう。 途中で、アンドリューに呼び出しがあった。顔が緊張した表情に変わり、そそくさと退室していった。 「ご期待にそえなくて申し訳ありません。」 シオンは艦長に謝った。 「なに、謝ることはないよ。今日は自室に戻って休みなさい。」 609 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 17 49 ID cMIoi3AX 8 アンドリューは、焦っていた。まさか、いきなり呼び出しがあるとは思ってもいなかったからだ。 急ぎ足で通信室に行き、通信をつなげた。画面に、顔が映った。司令の顔だ。 右目の上から下にかけての切り傷、冷たい目。 「失態だな・・・。アンドリュー。回収には細心の注意を払えと前もって忠告してあった筈だ。」 「はい、”機関員”に犠牲者が出たことは弁解の余地がありません。ですが、我々も・・・。」 アンドリューは苦い顔をした。機関員に犠牲者が出たのは明らかな失態で、弁解の余地がないからだ。 このことを攻められると思い、下をうつむいた。 「些末な事象など、どうでもよい。問題なのはゾハルに人が接触し、人が”消えた”ということ。 そしてその後、”通常空間に晒した状態”で移送していることだ。そして・・・。 貴様の艦隊にヤツラが接触する推定予測時間は5時間と22分後だ。」 「まさか!?やつらが!?」 驚きを通り越して絶句した。奴らがきたとしたら、このような艦隊では耐えられるわけがないのだからだ。 「だから失態といった。1時間前に増設艦隊を差し向けた。それまでの間、なんとしても保たせろ。」 「ま、間に合うのですか?」 「保たせろ。といっている。幸いにして、貴様の艦には”例の兵器”が搭載されているだろう。」 「お、お言葉ですが、あれはまだ実働試験にさえ写ってないのです!危険すぎます!」 「あれの力は、”貴様が一番良く知っている”だろう?多少不安定でもかまわん。急がせろ。」 「で、ですが・・・。」 「以上だ。」 通信が切れる。 「お待ちください、司令!マーグリス司令!」 610 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 19 20 ID cMIoi3AX 9 自室に戻り、休んだシオンは夢を見た。 遺跡のような場所にたつシオン。あたりには霧が立ち込めている。 鈴の音が静寂を破る。音のした方を見ると、そこにはあの少女の姿が・・・。 二人は視線を交わすが、少女はふと別の方向に目を向ける。 少女の視線の先には、少年のような人影があった。 「う、、うん・・・。」 夢にうなされるシオン。そのシオンの枕元に立つ少女。 そして少女は何かに気づいたかのように、船の外に目を向ける。 32 名無しさん@お腹いっぱい。 sage2005/03/24(木)01 24 31ID 9P5lIrk+ ゼノサーガep1、行きます。 文章構成上、ストーリー展開が前後したり、 結構話に絡んでるのに文中に出てこないキャラ(アレン、キルシュバ等)が いたりしますが、ご容赦下さい。 33 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 25 18 ID 9P5lIrk+ 星団連邦に所属する惑星アリアドネが、突如として謎の消失を遂げた。 その調査に赴いた巡洋艦ヴォークリンデは、本来の目的である調査もそこそこに、 当該宙域に浮遊していた謎の物体ゾハルエミュレーターを収容し、帰還することになった。 その収容作業中、ゾハルに触れた作業員が消滅すると言う事故が起こっていた。 この巡洋艦ヴォークリンデには、14年前より突如として現れ人類の脅威となった、 グノーシスと言う怪物群に対抗する為のヒト型アンドロイド、コスモスが配備されていた。 しかしながらそのコスモスは、未だ実働試験すら行われておらず、 仮想空間(エンセフェロン)におけるテストをしている段階であった。 ヴェクターインダストリー1局所属のシオン・ウヅキは、そのコスモスの開発主任だ。 彼女は、コスモスに対して、母親や姉のような感情を持っていたが、一方で恐れてもいた。 数年前の実験中、コスモスが暴走し、同僚や愛する人を殺されてしまったからだ。 そのせいか、シオンは実働試験に対して二の足を踏んでいる状態だった。 対グノーシスの切り札として配備されたコスモスが、起き上がる事すら出来ない。 調査に同行した軍関係者からは、その事を毎日のように責められていた。 この日も、試験を終えたシオンは、ブリッヂから呼び出しを受け、開発室を出た。 ブリッヂへ向かう途上、ゾハル格納庫を通った彼女は、そこで少女の幻影を見た。 少女は、何か言いたげな、哀しみを裡に秘めた表情でシオンを見つめていた。 シオンが歩み寄ると少女の幻影は消え、そこには金色に光るゾハルがあるだけだった。 不思議な感覚に囚われながらも、彼女はレアリエン調整室へ向かった。 レアリエン。それは、様々な用途に応じて造られた人造人間のことだ。 シオンは、このレアリエンとの交流を好み、エリート中のエリートが集まる1局から、 レアリエンを扱う3局に転属願いを出しているほどだった。 彼女がレアリエンの調整を手伝っていると、バージルと言う中尉が現れた。 彼はレアリエンを極度に嫌っており、この時も居丈高に見下し、罵った。 現在、レアリエンには人権が認められていると反論するシオンだったが、 それを商品としている事を指摘されると、彼女は言葉を詰まらせた。 「お為ごかしは反吐が出る」そう吐き捨て、中尉は立ち去った。 いい加減寄り道が過ぎたので、かなり遅刻してブリッヂに着いたシオン。 アンドリュー中佐は、それも含めて毎度の如くネチネチと小言を繰り返すが、 緊急呼び出しの通信が入ったため途中で切り上げ、ブリッジを出て行った。 運良く開放されたシオンは、艦長に労われ、自室で休む事にした。 アンドリュー中佐は、画面の向こうのマーグリスに叱責されていた。 U-TIC機関。ゾハル研究の為に創設された政府直属の機関であったが、14年前の ミルチア紛争を機に、反政府武装集団の色を強め、各方面に工作員を潜入させていた。 マーグリスはそのU-TIC機関の司令であり、アンドリューは工作員の一人だった。 惑星アリアドネの消失も、この組織がゾハルの起動実験をその地で行った結果であり、 調査隊が事件の調査もそこそこに帰還したのも、連邦軍に潜入していたアンドリュー達 の目的が、ゾハルの回収であったからなのだ。 ゾハル。それは、局所事象変異を引き起こし、グノーシスを呼び寄せる。 その危険性から、それを確保して封印しようとする者と、兵力として利用しようとする 者との間で激しい争奪戦が繰り広げられていた。 この非常に危険な物体の取り扱いには、細心にも細心を重ねた注意が必要だった。 しかし、アンドリューたちはその扱いを間違った。 ヴォークリンデには、すでにグノーシスが迫ろうとしていたのだ。 コスモスを使え。その命令に狼狽する中佐を無視し、マーグリスは通信を切った。 34 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 26 16 ID 9P5lIrk+ ブリッヂに警報が鳴り響いた。艦隊前方にグノーシスが出現したのだ。 母船タイプのグノーシスから射出された怪物たちが、次々と艦内に侵入してくる。 対グノーシス用兵器エイグスが出撃するが、通常兵器の効果は無く、撃破されてゆく。 グノーシスに掴まれた人間は白化し、砕け散った。 有効な対抗手段も無いまま、ついにヴォークリンデのブリッヂが沈黙した。 アンドリュー中佐は、宇宙服を着込み、ゾハル格納庫へ向かっていた。 格納庫ごとパージし、ワープさせる。無謀な作戦だったが、中佐にとっては、 コスモスを起動させるよりも遥かにマシな作戦だった。 なぜならば、中佐も、コスモスの暴走事故に立ち会っており、その恐ろしさを 身をもって知っていたからだ。 そもそも、実験中のコスモスを起動させたのも、彼らだった。 コスモスの強奪を目論み、内通者から起動用ギアを受け取ってラボを襲撃した彼らは、 しかしコスモスの暴走により惨殺され、唯一アンドリューだけが生き残った。 今、中佐は死を覚悟しながら、格納庫に向かっていた。 その中佐の覚悟も、無駄となりそうだった。コスモスが自律モードで起動を始めたのだ。 開発室のメンバーが恐怖で凍りつく中、ゆっくりと身を起したコスモスは、シオンを 保護するために動き出した。 その頃シオンは、グノーシスに追われた所をエイグスに乗ったバージルに助けられていた。 しかし彼の攻撃は効果が無く、逆に反撃を受け仲間を失ってしまった。 なにか手段が無いものかと考えた彼は、シオンの携帯端末を奪い、レアリエンを 自爆させる緊急制御コードを起動させた。 爆風が晴れると、彼は歯噛みした。仕留め切れなかったのだ。 反撃を受け、倒れこむバージル。そして、グノーシスはシオンに襲い掛かった。 足元から白化してゆくシオン。彼女が死を覚悟した時、閃光がグノーシスを貫いた。 コスモスの攻撃だった。グノーシスを実数空間に固着するヒルベルトエフェクトを展開 した彼女は、その圧倒的な戦闘能力でグノーシスを掃討した。 ゾハルの格納庫では、アンドリュー中佐が必死で乱れたシステムと格闘していた。 そこへ、脱出艇に乗るためにシオンたちが駆け込んできた。 グノーシスは途切れなく襲い掛かり、抗戦を続けるシオンたち。その中で、 コスモスがバージルごと敵を撃った。バージル、「フェブ…」とうわ言を言いながら即死。 シオンは、コスモスの非道な行動に怒りを露わにしたが、コスモスのプログラムでは、 ヴェクター関係者の保護>敵勢力の殲滅>>>>>それ以外の人間の保護であったため、 コスモスはそのプログラム通り、確実な方法を選択しただけなのだ。 「私は人間ではありません。ただの兵器です」 その言葉にショックを受けるシオンは、鬱然として脱出艇に乗り込んだ。 シオンたちと中佐の乗った脱出艇を見送ったコスモスは、もう一つの目的である ゾハルの確保の為、周辺に群がるグノーシスを除去しようとした。 しかし、いかにも多勢に無勢であり、結局はゾハルを持ち去られてしまう。 彼女はゾハルが収容されたグノーシス母船にマーキングを施し、その事を本社に報告、 次の司令を受け、第二ミルチアへ向かう事とした。 ヴェクターCEOのヴィルヘルムは、赤の外套者からその報告を受けていた。 「全ての事象は、この 秩序の羅針盤 の示すとおりに動く……」 そう、彼はつぶやき、デスクの上の構造物に目をやった。 35 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 27 52 ID 9P5lIrk+ クーカイ・ファウンデーション所属の不定期貨客船エルザが、ヴォークリンデの 遭難現場に向かっていた。だが、目的は救助ではない。艦の残骸を回収し、 それを売って船長の借金返済の足しにするためだ。 そんなエルザに、コスモスが襲い掛かった。キャノピーにパンチでヒビを入れられ、 第二ミルチアまで乗せてけと脅迫された船長はしぶしぶ承諾した。 ブリッヂにコスモスが入ってくると、脱出艇で漂流していたシオンから通信が入った。 エルザに収容しろと言うシオン。そのまま漂流していれば助けが来ると言うコスモス。 二人が押し問答していると、エルザの乗組員ケイオスが仲裁に入った。 彼は船長の信頼も篤く、その彼の取り成しでシオンたちもエルザに収容され、 第二ミルチアへ向かう事になった。 収容された後、ブリッヂへと挨拶に訪れたシオンたち。そこへ、グノーシスが現れた。 アンドリューが掴まれ、白化して行く。慌てふためくシオンたち。だが、ケイオスが グノーシスに手をかざすと、グノーシスは霧のように消えてしまった。 これが、ケイオスが船長に信頼されている理由だった。 騒ぎが落ち着いた頃、そのケイオスが、ヴォークリンデでの戦闘で不具合が出たため エルザの設備で調整をしていたコスモスに近づいていった。 機能を停止して眠っているコスモスに、彼はそっと呟いた。 「やっと会えたね……本当の君はどこに眠っているんだい……?」 プロジェクト・ゾハル。ゾハルの研究を進める事により、全ての事象を論理的に解明し、 また、人類の悲願であるロスト・エルサレム(地球)への帰還を目的とした研究である。 そのプロジェクトを推進する接触小委員会の会議が、連邦主星フィフス・エルサレムの 衛星軌道上のコロニーで開かれていた。 オリジナル・ゾハルが眠る、閉ざされた旧ミルチアへの道。その道を開くための鍵となる Y資料がU-TIC機関に奪われた。 U-TIC機関の責任者であり、彼以外にゾハルを解明する事は不可能とさえ言われた 天才ヨアキム・ミズラヒ。彼が遺したY資料なくしてもまた、ゾハルの研究は進まない。 その奪還の為、U-TIC機関の拠点への潜入を命令されたのは、ジグラット8と言う 型式番号のついたサイボーグだった。彼が見せられたのは一人の少女の写真。 百式観測用レアリエン。ヨアキムの最後の発明であり、対グノーシス用の索敵能力と ヒルベルトエフェクト展開能力を付与されたレアリエンだ。 百式は、彼と、その元妻であり現接触小委員会委員であるユリ・ミズラヒの亡児サクラを モデルとして創られ、そのプロトタイプであるモモには、Y資料が封印されていた。 成功の報酬として、ジグラット8は、自らの生体脳を人工部品に換装する事を望んだ。 彼は生前、ある男に妻子を殺され、それを苦に自殺を遂げていた。 サイボーグとして蘇ってからも、その記憶が彼を苦しめ続けていたのだ。 小惑星プレロマ。古代宗教の聖堂だったこの場所に、U-TIC機関は拠点を構えていた。 そこへ潜入し、モモを見つけ出したジグラット8は、モモに「ジギー」などと愛称を つけられたり、マーグリスと一戦交えたりしながら脱出。作戦を成功させた。 追っ手を撒いた後、モモは早速フィフス・エルサレムへ船を向けようとした。 だがユリの指令では移送先は第二ミルチアとなっていた。その事をジギーから告げられ ると、モモは寂しそうな顔をした。彼女は「ママ」に会うのを楽しみにしていたのだ。 その頃エルザではシオン特製のカレーが振舞われ、皆、ひと時の休息を取っていた。 そんな中、アンドリュー中佐は、未だ機能を停止したままのコスモスに見入っていた。 彼女に銃を向けるが、恐怖で手が震え撃つ事ができなかった。 36 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 28 44 ID 9P5lIrk+ シオンは、本社への連絡の中で、局長に対して声を張り上げた。 第二ミルチア到着後、コスモスを2局に引き渡すと言われたのだ。 シオンは、コスモスが何の命令も無く独自に稼動しており、実戦配備は時期尚早と説明、 コスモスの監察を続ける事を局長に認めさせた。 エルザが第二ミルチアへ向けてハイパースペース内を航行していた時、同じくジギー達も その中にいた。しかも、U-TICの無人兵器に張り付かれている状態だった。 ジギー達からエルザに向けて救難信号が発せられた。 初めは日和見を決め込んでいた船長だったが、エルザが被害を受けるや一変、 ジギーたちを援護して敵勢力を掃討、彼らを船内に収容した。 落ち着いた所で話を聞くと、ジギー達も第二ミルチアに行くというので相乗りする事に。 だが、先の戦闘でダメージを受けた船を修復する為、まず手近なコロニーに向かった。 その途上、アンドリューはプレロマに通信を入れていた。百式を確保したと。 だが、マーグリスは帰還命令を伝えただけで、早々に通信を切った。 そのマーグリスの下に、謎の男アルベドが現れた。彼はモモを連れ戻すと言い残し、 狂ったような笑い声を上げながら立ち去った。 「……モモ…か……。可愛いペシェめ……」 マーグリスの副官ペレグリーは、アルベドに任せることの危惧を口にしたが、 利用価値はあると、マーグリスは言う。目的は違うが、必要な物は同じなのだと。 惑星アリアドネのあった座標に、クーカイ・ファウンデーションの武装艦デュランダルが 停泊している。この宙域の調査をするためだ。 クーカイ・ファウンデーション。14年前のミルチア紛争の事後処理の為に設立された、 財団法人である。紛争後の武力衝突に対抗するために備えた武装は、連邦艦隊にも 匹敵するとまで言われているが、現在は副業として始めた事業展開を中心としている。 しかしながら、ゾハル・エミュレーターの回収もその役割としている為、ゾハルの影響と 思われるアリアドネ消失事件の調査に赴いたのだった。 ファウンデーション理事ガイナン・クーカイの養子であり、副理事でもあるJr.は、 現場を見て唖然とした。そこに惑星があったと言うあらゆる痕跡がなくなっていたのだ。 さらに調査を進めるため、次に彼らは、ヴォークリンデの遭難現場に向かった。 そこでようやく、ゾハルの残滓を発見する事が出来た彼らだったが、現場に潜伏していた U-TICの戦艦から攻撃を受けてしまう。 反撃に転じ、戦艦内部を制圧。U-TICの情報を得るために艦のマザーフレームに アクセスしたJr.だったが、敵残存勢力に阻まれ、結局徒労に終わった。 一方その頃、シオンたちを乗せたエルザは、ドックコロニーに入渠していた。 修理が終わるまで、船外へ出て休息を取る一行。しかし、このドックコロニーは、 ミルチア紛争の頃から軍関係者への反感が根強く残っている場所だった。 住民の話から、地元の青年達にアンドリュー中佐が連れて行かれたと知り、後を追った シオン達は、人間業とは思えぬほど無残に惨殺されている青年達を発見した。 一方の中佐は既にエルザに戻り、傷の手当てを受けていた。 結局、事件はうやむやのまま、エルザはコロニーを離れた。 この一件以来、中佐に変調が表われ始めた。人知れず体を苦痛に悶えさせ、その度に 薬剤を注射して抑える。彼の脳裏に、エルザでグノーシスに襲われた時の記憶が フラッシュバックする。彼の発作は時間を追うごとに悪化しているようだった。 シオンは夢を見ていた。ヴォークリンデで見た幻影の少女が、彼女に語りかける。 「彼の最後の気持ちを理解できるのは貴方だけ。それが彼の安らぎ……」 37 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 29 41 ID 9P5lIrk+ 不可解な夢から目覚めたシオンは、突然の振動に襲われた。 エルザが、ハイパースペース外から干渉を受け、引き寄せられていたのだ。 通常空間に引きずりだされたエルザは、周囲を莫大な数のグノーシスに囲まれていた。 さらに引き寄せられたエルザは、巨大なグノーシスに飲み込まれていった。 この異変は、デュランダルも察知していた。艦内に保管されている11機のゾハル・ エミュレーターが共鳴を始めたのだ。デュランダルは、波動の発生元へと急行した。 気がつくと、シオン達は生身でグノーシス内部に放り出されていた。 はぐれてしまったエルザと中佐を探すために移動を始めた彼女達は、その途上、明らかに 人工的な看板や、自動車の残骸を発見した。 シオン達とはぐれ、一人さまよっていた中佐は、それらに見覚えがあった。 そこは、彼らがゾハルの実験をしたアリアドネの市街そのままだった。 悪夢を見ているような気持ちで彼はさまよい続けた。 グノーシスの中心部まで到達したシオン達は、そこでゾハルと、前後不覚になった中佐を 発見した。中佐は、ゾハルを背にするとグノーシスと化した。 「同じだ……あの時と……」ジギーが呟いた。 襲い掛かる中佐を、やむを得ず撃退したシオン達。 中佐が断末魔の叫びを上げる中、シオンは彼の心に触れていた。 戦争の道具としてこの世に生を受けた彼は、戦後の社会に適応できなかった。 社会に受け入れられない孤独から、彼は凶悪犯罪を重ね、その度に人格矯正処置を受けた。 そして最後には収容所の職員と連邦軍三個小隊を一人で壊滅させてしまった。 そこでマーグリスに拾われた彼は、マーグリスの信頼を受け心酔し、忠実な部下となった。 今、彼は虚無の浜辺に佇み、安らいだ顔をしていた。 「ここは良い…、怒りも悲しみも、喜びも未来も…俺以外のものは何も存在しない……。 その俺自身もやがて消える…。……シオン、遠からずお前もここに来る……きっと……」 そう言って、彼は消えていった。 アンドリュー中佐を殺してしまった事にショックを受けるシオン。 だが、感傷に浸る間もなく、その場所が崩壊を始めた。 逃げ出したシオン達は、エルザに救出され、その場を離脱した。 グノーシスの包囲網を抜けようと全力で航行するエルザ。それを、駆けつけた デュランダルが援護する。しかし、そのデュランダルも包囲されつつあった。 その時、コスモスがたった一人で船外へ出ようとしていた。 無謀だと止めようとするシオン。だが、コスモスはそれを聞き入れなかった。 「シオン、痛みは……私を満たしてくれますか……?」 今まさに迫らんとしているグノーシス群の前に立ちはだかったコスモス。 腹部から拡散ビームを発射し、一瞬のうちにグノーシスを吸収してしまった。 自分の知らない兵装が搭載されている事に呆然とするシオン。 「ケヴィン先輩……これが貴方の望んだ、本当のコスモスの姿なんですか……?」 彼女の戸惑いをよそに、エルザとゾハル・エミュレーターはデュランダルに収容された。 そして、エルザの補修の為、一行はクーカイ・ファウンデーションに帰港する事になった。 ワープするデュランダル。その後姿を、シメオンに乗ったアルベドが見ていた。 38 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 30 23 ID 9P5lIrk+ デュランダル内の隔離格納庫。そこに、シオン達は案内された。そこには、ゾハル・ エミュレーターが保管されていた。さらには、グノーシス変容体となり生命活動を 停止した人達も。グノーシスに接触された人間は、ほぼ例外なく変容体となる。 シオンはヴォークリンデでの出来事とアンドリューの最期を思い出し、背筋を凍らせた。 一方モモは、そのグノーシスをこの世界に呼び寄せた元凶が、当時U-TICに所属し、 ゾハル研究の途上で暴走したヨアキム・ミズラヒである事を知り、ショックを受けた。 彼女にとってヨアキムは、自分の誕生を心待ちにしてくれていた優しい「パパ」であり、 世間一般が評価する「狂人」とは程遠いものだったからだ。 暗く俯くモモ。しかしシオンは、ヨアキムの全てが否定される訳ではないとモモを慰めた。 ファウンデーションに入港するデュランダル。Jr.と良く似た理事がシオン達を迎える。 彼、ガイナンは、シオンに奇妙な感覚を覚え、執務室に戻った後、Jr.にそう告げた。 プロジェクト・ゾハル。その最重要機密であるコスモスの開発に携わるシオンが、 何らかの特殊な素質を持っているのではないか。ガイナンはそう考えたのだ。 プレロマ。マーグリスが、セラーズと言う男と通信している。 U.M.N.。その非局所性を利用して、全宇宙を時間的空間的束縛に囚われず結ぶ ネットワークシステム。その特性により、現在のワープ航法が可能となっている。 オリジナル・ゾハルの眠る旧ミルチアは、14年前の紛争時にU.M.Nの転移コードが 消失しており、Y資料にはそのコードが記録されている。 「いずれにせよ 総帥 をお待たせする訳にはいかん。プラン401を発動する」 マーグリスは、強攻策をとる決断をした。 その事は、アルベドにも伝えられた。 「場合によっては、ネピリムの歌声……使うやも知れん」 その言葉に、アルベドは笑い声で答えた。 デュランダル。先ほどイヤな話を聞かせたお詫びにと、Jr.がモモにペンダントを贈る。 二人の間に、気恥ずかしい空気が漂ったその時、衝撃が彼らを襲った。 ファウンデーションが、連邦艦隊に包囲されていたのだ。 連邦政府議会では、先のヴォークリンデ遭難が、デュランダルの攻撃によるものだとして、 ファウンデーションの強制捜査、及び既得権益の剥奪が議論されていた。 政府内に入り込んだU-TICの工作であった。証拠として、デュランダルがヴォーク リンデを攻撃する映像が映されたが、それは、U-TIC戦艦と戦った時の映像を たくみに合成したものであった。 デュランダル内に入り込んできた連邦兵士に拘束されるシオン達。だが、その兵士達は、 ファウンデーションと繋がりのある政府関係者が送り込んだ者達だった。 彼らの手引きを受け、シオン達は、嫌疑を晴らすために行動を始めた。 ヴォークリンデでの戦闘を記録しているコスモスのメモリーを回収し、反論の材料とする。 そのために彼女達は、コスモスのメモリー内にエンセフェロンダイブした。 39 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 31 06 ID 9P5lIrk+ 気がつくと、Jr.は銃弾の飛び交う戦場に立っていた。彼は、そこがどこか知っていた。 14年前のミルチア。彼と同じ顔をした少年達が、銃を乱射し虐殺を行っている。 彼は、悪夢を見ている気分になりながら、そばにいたモモに話し始めた。 Jr.やガイナン、アルベドは、U.R.T.V.と呼ばれる生体兵器だった。 彼らは、U.M.N.のオペレーションシステムであり、局所事象変異の源である ウ・ドゥに対する反存在として生み出された。 14年前、彼らは暴走したウ・ドゥを抑える作戦に就いていたが、U.R.T.V.達の 精神リンクの中心であったJr.は、ウ・ドゥに恐怖し、リンクを拒絶してしまった。 結果、Jr.とガイナンを除いた者たちはウ・ドゥに汚染され、暴走を始めたのだ。 この時の事を、彼は今でもトラウマとして心の裡に持っていたのだ。 気がつくと、シオンは14年前のミルチアの公園に居た。幼いシオンが、父に連れられて 行く。彼女が、父と過ごした最後の日の記憶だった。 重篤神経症治療施設。そこにシオンの母は入院していた。そして、そこで悲劇が起こった。 しかし、それはシオンとって心の奥にしまい込んだ、思い出したくない記憶だった。 気がつくと、シオン達は古びた教会に居た。祭壇の前に立つレアリエンを見て、シオンは、 再びトラウマを思い出した。フェブロニア。彼女が無残に食い殺される様を、シオンは 目の前で見ていた。 フェブロニアに促され、奥へ進んだシオン達は、幻影の少女ネピリムと出会った。 虚数世界と現実世界の狭間に住み、現実世界には僅かな時間しか干渉できない彼女達は、 その僅かな時間を使い、シオン達を導き、この仮想空間で会える時を待っていたのだ。 シオン達は、未来のビジョンを見せられた。くびきを離れ、暴走するウ・ドゥ。そして、 それに対抗する、本来の姿となったコスモス。二者の激突は銀河をも消滅させる。 しかし、未来は変えられる、シオン達に変えてほしい。ネピリムはそう言う。 グノーシスに触れられながら、グノーシス化しないシオンにはその力がある。 だが、心に弱さを持つ彼女達に、過去のトラウマを乗り越える強さを持って貰いたかった。 ネピリムが、シオンとJr.に過去を追体験させたのは、その為だったのだ。 別れ際、フェブロニアがもう一つ、彼女達に願いを託した。 フェブロニアの二人の妹、セシリーとキャス。ゾハル制御の媒体として、旧ミルチアで 今も呪縛に囚われている彼女達を開放して欲しい。フェブロニアはそう訴えた。 「ミルチアへ行けば全て分かるわ……」 ネピリムが最後にそう言って、彼女達は消えた。 エンセフェロン最奥部でコスモスの記録を回収したシオン達は、現実世界へ戻って行った。 その中で、ネピリムがケイオスに語りかけた。 「本当にこれで良かったの……? もう後戻りはできないのよ……?」 「分かってる……でも、 彼女 にはシオンが必要なんだ……」 シオン達の持ち帰った記録は議会で審議にかけられ、デュランダルの嫌疑は晴れた。 その事をマーグリスはアルベドに伝えた。ネピリムの歌声を使う時が来た、と。 40 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 31 56 ID 9P5lIrk+ ファウンデーションが艦隊と共に第二ミルチア上空まで達したとき、ケイオスが、 狼狽えて叫んだ。歌声が聞こえたのだ。その歌声は、グノーシスを引き寄せ、聞く者を 狂わせる。14年前のミルチア紛争でも、この歌声が人々を狂気へと駆り立てた。 歌声は、ヴェクターCEOのヴィルヘルムの元にも届いていた。 「……始まったね……」彼はそう呟いた。 そして、ファウンデーションがグノーシスに包囲され、市街地が襲撃を受けた。 迎撃態勢を取った連邦艦隊も、アルベドのシメオンによって壊滅させられていく。 混乱を極める市街地に飛び出し、住民の避難と敵の掃討にシオン達が奔走する中、 モモがアルベドに連れ去られ、その居城であるネピリムの歌声に囚われた。 ネピリムの歌声。元はヨアキムの研究施設であり、14年前はミルチアにあった物だ。 シオンも、当時母親の病室から見たことがあった。 それが、アルベドの手によってこの宙域まで持ち込まれていた。 モモの助けを求める声を感じ取ったJr.は、すぐさまシオン達と共に歌声へ向かった。 哄笑をもって彼らを出迎えるアルベド。14年の時を経て自らの分身と対峙したとき、 Jr.は冷静ではいられなかった。 激昂するJr.を挑発しながら、アルベドはモモの意識を侵食して行った。 最後のプロテクトに到達した時、彼にヨアキムのイメージが流れ込んできた。 「もう私には、これから起こる事を止められない。だからせめて、お前に託そう……。 時は交差する……。いずれお前は、彼女達と出会う……その時の為に……」 それは、モモが誕生する直前、ヨアキムが彼女に語ったメッセージだった。 Jr.の放った衝撃波と、Y資料のプロテクトがアルベドを弾き飛ばした。 アルベドはさも愉快そうに笑った。彼がプロテクトに触れた時、そこにコスモスと シオンのイメージがあった。ヨアキムが最後に残したY資料のプロテクトに、彼女達が 現れる意味。それを知って彼は笑っていたのだ。 アルベドの笑い声に激昂し、ポテンシャルを開放して挑みかかるJr.。彼の本質を 知っているケイオスが、顔色を無して止めようとする程のエネルギーが弾けようとした時、 突然の乱入者が二人の間に割って入った。 青の外套者。この時は正体を隠していたが、彼はヴォークリンデでコスモスに殺された 筈のバージル中尉だった。 彼は、アルベドにその役割を指摘して退去させると、後を追おうとするJr.を攻撃した。 その物理法則を無視した力に、なす術もなく膝を付くJr.達。 「無駄だな。貴様らと俺とは、この世界に存在する法則が違う。そうだろ、 大将 ?」 ケイオスに向かってそう言い残し、彼は消えた。 歌声の機能が完全に停止している事を確認し、シオン達はデュランダルへ戻った。 歌声を破壊するため、デュランダルの主砲が向けられたとき、異変が起こった。 残存していたグノーシスが、歌声に集まっていく。その中心には、アルベドのシメオン。 「なんだか遊び足りなくてな……戻ってきたぜ」 シメオンから莫大なエネルギーが発せられ、歌声の下に遥かに大きな建造物が出現した。 天の車。元々は宇宙の真理の解明の為に作り出された施設だったが、ヨアキムによって モモを生み出すためのプラントとして使われていた。この施設と歌声、そしてゾハルが 一体となった時、ミルチア紛争以上の悲劇が起こる。そのため、この施設は旧ミルチアが 封じられている二重ブラックホールへと廃棄されたはずだった。 アルベドは、先にY資料に接触した時、この天の車の存在と使い方を知ったのだ。 その天の車が青い光を放ち、グノーシスを吸収し始めた。それは、以前コスモスが 腹部から発射したビームと同質のものだった。 グノーシスをエネルギーとした天の車は、主砲の発射準備に入った。目標は第二ミルチア。 それを阻止するため、シオン達はエルザと共に天の車へと向かった。 41 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 33 11 ID 9P5lIrk+ 「遅ぉい! 待ちくたびれたぞ」 天の車の動力炉で、アルベドは彼女達を出迎えた。 なぜこんな事を。Jr.のその問いに、アルベドは憎憎しげに答えた。 14年前の作戦の時、Jr.が心を閉ざした事で、歌声の浸食に身を任せるしかなかった U.R.T.V。消えていった仲間達の為にも、貴様を断罪してやる。そう言いながら、 彼はこうも言った。 「だが、俺は感謝してるんだ。おかげで俺だけは新たなる世界への道を見つけられた」 コスモスとシオンに目をやり、彼は笑い声を上げた。 「ついさっき、それを確信した。これはそれを確かめる為の余興さ。精々楽しんでくれ」 アルベドが姿を消した直後、動力炉と直結した巨大なグノーシスが姿を現した。 死力を尽くして動力炉とグノーシスを破壊したシオン達。 爆発が始まり、彼女達が脱出を始めたその時、天の車がミルチアに向けて降下を始めた。 地上への被害を最小限に食い止める。その為に、天の車を最小ブロックにまで分解する 方法を探し出した彼女達だったが、システムを起動してから脱出までの猶予が、わずか 1分しかない事が分かった。 これでは脱出できない。一同に絶望感が漂ったとき、コスモスが残ると言い出した。 コスモスの能力ならば1分で脱出できる。そう信じて、シオン達はその場を彼女に任せた。 天の車が崩壊を始めた。ギリギリまで内部で待ち続けるエルザ。しかし、崩壊はエルザの 直上まで及び、苦渋の決断をするJr.。エルザは離岸した。 ハッチ上で待っていたシオンは取り乱し、戻るように懇願した。 その時彼女にネピリムの声が届き、走るコスモスのイメージが流れ込んできた。 左舷前方400メートル。シオンがエルザを誘導した先に、コスモスが飛び出してきた。 コスモスを収容し、最高速で離脱を図るエルザ。そのままミルチアの大気圏へ突入する。 しかし、先の脱出でダメージを受けていたエルザは姿勢制御にトラブルが発生。 大気との摩擦で船が炎に包まれた。このままでは、エルザは消し炭になってしまう。 そんな状況の中、ケイオスは一人、悩んでいた。 「あなたは、どうするの……?」ネピリムの声が、彼の脳裏に響いた。 その時、コスモスが彼の前を通り過ぎた。 「 君 が……? 待って!」慌てて止めようとするケイオス。しかし、 「あなたの痛みを、私に下さい」そう言って、コスモスはハッチに向かった。 コスモスが、エルザを守るように船首に立った。彼女の瞳が青く輝いた時、ケイオスの 腕が光を放ち、ネピリムが空を仰ぎ、アベルが振り返り、秩序の羅針盤が共鳴した。 そしてエルザの船体を6枚の光り輝く翼が包み込み、船は大気圏を突破した。 「いい見物だった。あとは、ペシェとU.M.Nがリンクすれば……」 そう言って、狂った笑い声を上げながら、アルベドは去った。 その情報は、ヴィルヘルムにも伝えられた。外套者は、彼を自由にする事を危惧した。 「アベルの方舟へと至る扉を開けるのは、彼だけだからね。しばらくは……」 「ウ・ドゥと再びリンクする可能性が残りますが」 「彼にそこまでの力はないよ。あとは鍵の役割だけ……。まぁ、局所事象変異ぐらいは 覚悟しないといけないけど、その為に 君達 がいるわけだし……ね。……でも、彼を このまま端役にしておくのは惜しい……。彼の意思は素晴らしい輝きを持っている……」 ミルチアの海に、日が沈もうとしている。その夕日を傷ついた船体に浴びながら飛行する エルザのブリッヂで待つシオン。彼女の下に、コスモスが戻ってきた。 「任務完了しました、シオン」 「…………お帰りなさい」 Xenosaga Episode1 END
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ゼノサーガ エピソードI 力への意志 ・要約版(ゼノサーガシリーズ全体の要約):要約スレpart3-23,112,114~118 ・詳細版:part12-594~610, 14-32~41 23 :ゲーム好き名無しさん:2008/12/26(金) 19 41 05 ID j1iAV0OwO ゼノサーガシリーズ 人々の拒絶し合う精神や、ウ・ドゥと呼ばれる高次元の波動とかの影響で 宇宙は一般人の知らないところで徐々に崩壊しており そのうち滅亡を迎えるのがほぼ確実になっていた。 有史以前から生きてる超人ヴィルヘルムは、宇宙の滅亡は不可避だと結論し アンドロイドKOS-MOSを造って古代に居た「マリア」という能力者を復活再現しようとする マリアの能力を利用すれば滅びかけた宇宙を原初までリセットすることができるのだ。 リセットしても記憶を失った人類は同じ歴史を辿ってまた滅亡に向かうのだが 滅びそうになるたびに再びリセットする「永劫回帰」という無限ループにすることで 未来が無いかわりに宇宙を延命できるのだという。 あるいは既にこの宇宙も、 何回も、ひょっとすると何千回以上もループした後の宇宙なのかも知れなかった。 冒険の中でKOS-MOSは覚醒を果たすが、今までのループとわずかに違い、 単なるマリアのよりしろでもプログラムに縛られた機械でもなく、 自分の意思を持ったKOS-MOSという一存在として成長する。 KOS-MOSはヴィルヘルムの意図に反し、閉じたループではなく、 仲間達と共に未来に進み崩壊を避ける道を模索することを選ぶ。 KOS-MOSが離反したことで暴走した強制リセット装置(ラスボス)を叩いて止めて 崩壊の中心を宇宙の僻地に隔離封印する事で滅亡までの時間を引き延ばすことに。 ワープ封印には成功するがKOS-MOSは大破し、いつか仲間と再開することを信じて ワープ先で長い長いスリープモードに…。 生還した仲間達はそれぞれのやり方で崩壊を阻止するために行動を開始。 幾人かはKOS-MOSのワープ先の星… かつて「地球」と呼ばれた星を探す果てしない航海に旅立つのだった。 …KOS-MOS関係とラストバトル周り「だけ」でこれだよ 各キャラ各勢力各設定とかちゃんと説明したらどうなるんだ… 112 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 17 15 47 ID j2QXEqlJ0 23のゼノサーガを書いた者なんだが、これ一応、事の真相ではあるんだけど これが明らかになるのがEP3の終盤なんで「あらすじ」っていうのとは違う気がしてきた。 EP1の前半だけ見てからこれを読むと 「この展開からどうやってこんなのに繋がるんだ・・・」って気分になるかもしれないと思った。 一応ゲーム展開のあらすじという方向でも纏めてみたんだが、要ります? できるかぎり要約した割にかなり長くなってしまったんだけど 114 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 55 07 ID j2QXEqlJ0 んじゃ行きます ゼノサーガ パイドパイパー (携帯アプリ) 人類が、とある災厄に見舞われて地球を脱出して数千年(本編の約百年前) 情報送信だけでなく物質の転送や仮想空間の構築、超光速航法も可能にした超空間ネット 「ウーヌス・ムンドゥス・ネットワーク(略称U.M.N.)」の恩恵を受け人類は暮らしていた。 だがアブラクサスという惑星で、U.M.N.仮想空間内で人が連続して殺される怪事件が発生。 星団連邦警察の対テロ隊長ジャンは「ヴォイジャー」を名乗るテロリストの犯行と見て調査を進める。 ついにヴォイジャーの正体を突き止めるがそれはジャンの身近な人物だった。 ヴォイジャーは様々な超常現象を起こす無限エネルギー物体「ゾハル」を使うために ゾハルにアクセスできる因子を持った人間の脳内情報を集めていたのだ。 目論見それ自体は失敗するが、ヴィルヘルムに資質を見出され 物理的に死なない不滅の存在テスタメントの一体に変貌するヴォイジャー。 逃げ場も勝ち目も失い家族も殺されたジャンに、ヴォイジャーは自分の仲間になるか、 それとも戦って死んで今までの被害者のように精神をコレクションされるか、という選択を迫る。 だがジャンは第3の選択として、自棄でも逃避でもなく、 自分の意思と人間としての尊厳を守るために自らの命を絶つのだった。 しかし後に、優秀な能力を持つジャンの遺体は サイボーグ体「ジグラット8(通称ジギー)」として意に沿わぬ形で目覚める・・・ 本編に続く。 本編中でのジギーは、大切なものを守れぬまま死も許されず存在し続ける苦痛に、意識をも機械化することを望むが 新たな仲間達との触れ合いにより人としての意思の在り様を再び見つけ出す。 そして犠牲を払いながらもついにヴォイジャーとの決着をつけ、 今度こそ大切なものを守り続けて生きていく事を誓うのだった。 115 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 56 13 ID j2QXEqlJ0 ゼノサーガ EP1 ヴィルヘルムがCEOを務める大企業ヴェクター、化粧品から戦艦まで扱う世界規模の一大コングロマリット・・・ そこに所属する若き女技術者シオンは、今は亡き恋人の天才科学者ケビンの研究を引き継ぎ、 人類を襲う謎の敵「グノーシス」に対抗するアンドロイドKOS-MOSを開発していた。 しかし乗っていた宇宙船が襲われ、グノーシスに接触され死にかけるシオン。 だが起動命令も出していないのに何故かひとりでに目覚めたKOS-MOSによって助けられる。 船を脱出したシオン達は、成り行きで(・・・に見えるが実は運命に仕組まれて) モモというレアリエン(労働用人造人間、アンドロイドと違いナマの生物で、明確な感情がある)達と出会い、 そのモモの脳内に封印された、ゾハルや超技術について記された「Y資料」というデータを狙う宗教結社オルムス (の一部であるU-TIC機関)や狂気の不死人アルベドとの戦いに巻き込まれていく。 感情を見せず、時に残酷な振る舞いをしたり、稀に仕様書には無い奇跡のような謎の力を発揮するKOS-MOS。 それらの行動や、KOS-MOSデータ内面世界に不可思議な領域があるのを垣間見て、KOS-MOSへの不安を抱くシオン。 だがKOS-MOSに幾度と無く助けられたこと、創り手としての愛情、亡きケビンとの絆を確認したい、との思いなどから、 シオンはKOS-MOSのことをもっと知りたい、共に生きたいという思いを強くするのだった。 116 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 57 00 ID j2QXEqlJ0 ゼノサーガ EP2 グノーシスを打破するため、U-TIC機関にゾハルを渡さず確保するためにも、モモ内部のY資料を解析しようとする。 だがアルベドによって仕掛けられた論理トラップによってY資料は流出してしまう。 ゾハルが封印された惑星ミルチアへのルートが明らかになり、各陣営は一斉に動き、 ミルチア宙域では熾烈な戦闘が展開されるが、 最終的にゾハルはオルムスの教皇セルギウスの手に落ちる。 神の遺物と呼ばれる超技術で造られた、破壊兵器プロトオメガをゾハルの力で起動させ、 圧倒的な力を振るうセルギウス。だがセルギウスには高邁な理想は無く、矮小な我欲しかなかった。 その意思の小ささに、ヴィルヘルムはテスタメント達を遣わしセルギウスを処分する。 そこを横からかっさらうようにアルベドがゾハルを手に入れる。 シオン達の仲間の一人、ルベド(通称Jr.)はかつて、 特殊能力を持った兵器という役割で遺伝子操作されアルベドと共に産まれた。 兵器として死ぬことから逃れようとしたJr.は結果的に兄弟達を見捨てることになってしまったことを悔やみ続け、 アルベドとJr.は互いに愛憎入り混じる複雑な感情を抱いていた。 Jr.はゾハルの力で変容したアルベドの元に単身乗り込み、因縁の戦いに終止符を打つ。 実はアルベドの望みはJr.の手で死ぬことだった。今際の際に和解する二人。 だがゾハルは何処かへと消えた。ヴィルヘルムが笑みを漏らす・・・ 117 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 58 01 ID j2QXEqlJ0 ゼノサーガ ミッシングイヤー 今までとは違うパターンのグノーシス被害が出始める。 本来なら群れても統率はされていないはずのグノーシスが秩序だった動きを見せ、 都市部に被害が集中し、そして短時間急襲した後にはすぐ消えてしまうのだ。 グノーシス・テロと呼ばれる一連の現象の裏にはグリモアという数千年前に死んだはずの男の存在があった。 グリモアはまだ人類がロスト・エルサレム(地球)に居た頃に人間を使ってゾハルを操る実験をしていた研究者であり、 その実験で娘を消滅させてしまっていた。 実験で使われたゾハル制御プログラム「レメゲトン」を復元すれば娘を復活させられると信じたグリモアは、 精神データとなってヴェクターの最重要データ区画に潜み、数千年の時を経て行動を開始したのだ。 レメゲトンが発する波動「ネピリムの歌声」に引き寄せられるグノーシス達を誘導し、 断片化してU.M.N.内に四散してしまったレメゲトンを集めていたグリモア。 だが世界をグノーシスの危機に陥れかねないその暴挙はシオン達によって止められる。 しかしシオンは自分の所属するヴェクターの上層部がグリモアを援助していたこと、 この事件の一因となった14年前の非道な人体実験に自分の父が関っていたこと等を知ってしまい、 やがて不信と苦悩からヴェクターを退社して独自の調査を始める事になる。 118 :ゲーム好き名無しさん:2009/02/24(火) 21 58 49 ID j2QXEqlJ0 ゼノサーガ EP3 自覚はなかったが、シオンは無意識の内にゾハルにアクセスする強い能力を持っていた。 テスタメント達は過去の惨劇を目の前で再現する精神攻撃を仕掛け、無理矢理シオンの能力を引き出す。 シオンの悲鳴に誘われ、ゾハルが姿を現す。 グノーシス、オルムス、Jr.達の親のユーリエフ・・・ゾハルを求める各勢力が集結し終末的な争いを繰り広げる。 戦いの中で一人ひとり過去を清算し、因縁に決着をつける仲間達。 だがそれらは全てヴィルヘルムの手の上の出来事だった。 ゾハルの稼動で加速度的に被害を増すグノーシス現象。 グノーシスの正体はゾハルの波動を受け、恐怖から他者や世界を拒絶した生命の成れの果てだという。 拒絶し合う意識はグノーシスとなって人類を殺すだけではなく、やがて宇宙の構造そのものを散逸・崩壊させる。 そうなる前に全てを始まりに戻す「永劫回帰」に必要な因子を、ヴィルヘルムは漁夫の利で集めていた。 シオンの能力は「マリアの巫女」と呼ばれた女性の再来であり、マリアの力を引き出す触媒だった。 シオンがKOS-MOSの開発を引き継いだのは、KOS-MOSをマリアとして目覚めさせるために全て仕組まれたことだったのだ。 目の前で両親や親友が惨殺される光景を再び見せられたり、能力の副作用で死ぬと宣告されたり 宇宙の崩壊の一因は自分にあると突きつけられたり、死んだはずの元恋人ケビンがテスタメントになって敵側に居たり、と 精神的にボロボロになったシオンは誘導されるがままKOS-MOSを目覚めさせ、ヴィルヘルムやケビンに操られかける。 果たして宇宙はどうなるのか。人々の魂すら失われる完全な崩壊を迎えるのか、 それとも同じ歴史・同じ日々を延々と繰り返す世界になるのか・・・ あとは 23に続く 594 名無しさん@お腹いっぱい。 sage05/02/2802 46 14ID cMIoi3AX すいません、いっぺんにのせてくれるとありがたい。 と意見がありましたが、凶悪的なほど長文になる恐れになってきまして、 分けて載せていくことにします。ご期待に沿えず申し訳ございません。 できるだけ短くしよう、短くしようと頑張っているのですが、 ゼノサーガは物語の伏線が多すぎて、最初を詳しくしないとさっぱり意味がわからないのです。 ですので、最初は詳しく、後半は簡潔に行こうと思います。 ゼノサーガ特有の意味がわからない用語は出来るだけ省き、わかりやすい用語に差し替えました。 何度も出てくる難しい用語はそのままにしてあります。長文になることをご了承ください。 595 Xenosaga Episode1 sage 05/02/28 02 47 35 ID cMIoi3AX Xenosaga Episode 1 ~Der Wille Zur Macht~ 時にAD20××年。 ケニア北部、トゥカルナ湖で古代遺跡の発掘が行われていた。 発掘員隊長、マスダは、現代の全ての事象の根源であるゾハルを発掘した。 ゾハルは光を放ち、その光は雲を貫き、空へと向かっていった。 全てはここから始まる。 596 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 48 57 ID cMIoi3AX 1 ~4000年後~ ゾハルの発掘のあと、大規模な人の消失事件が発生した。 生き残った人々は移民船に乗り、宇宙へ旅に出た。 移民先を見出す数百年かかり、最初の移民惑星を「セカンド・イェルサレム」と名付けた。 だがしかし、人はそこで戦争を繰り広げ、過ちを犯し続け、いくつかの主星を失い続けた。 現在の主星はフィフス・イェルサレム。この星に、ようやくひとつの国家的統合を達成する。 星団連邦政府所属、巡洋艦ヴォークリンデ。館内のKOS-MOS研究室では、研究員たちが慌しく働いていた。 KOS-MOS(以下、コスモスと呼ぶ)・・対グノーシスヒト型掃討兵器である彼女・・・。 その彼女を開発している部署の主任であるシオン=ウヅキは起動実験を始めた。 シオンは技術開発者としてのプライドと、主任としての立場。 そして、コスモスが兵器として使われることへ悲しさを持っていた。 「これより起動実験を開始します。インターコネクション、始めてください」 シオンは起動実験をするための装置に座った。 その起動実験とは、仮想空間にシオンを送りこみ、そこでコスモスのデータを取るというものだった。 「ゲージパーテイションを解放します。解放まであと60秒。59,58,57・・・。」 「各モニタリング正常。」 「パーテイション解放。コスモス、素体形態に入ります。」 597 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 50 24 ID cMIoi3AX シオンが仮想世界に入った。ただ少々視界が悪い。 「アレン君、視覚の接続状態が悪いみたいなんだけど・・・。」 「あぁ、すいません。ちょっと待ってください。今、補正します。どうです?主任。」 コスモス開発局副主任であるアレンが答えた。 アレンはシオンに淡い恋心を抱いていて、毎回のこの実験ではソワソワしている。 なぜかというと、この実験中に事故がおこると、シオンが仮想世界から帰ってこれなくなってしまうからだ。 世界が一瞬光に包まれ、コスモスが仮想世界に降り立った。 「おはよう、コスモス。調子はどう?」 「おはようございます、シオン。すべて非常に順調です。」 機械的な、無感情な返事が響く。 「せっかく起きてもらって悪いんだけど、今回も起動実験なの。一連のチェックを終了したら、 あなたにはまた眠ってもらうことになるわ。」 「そうですか」 「悲しいとか・・・感じる?」 その機械的な対応に少し寂しさを感じたのか、シオンは親しみを込めて話しかけた。 「私の寛恕言うプログラムは、創造主である人間が使いやすいように作られています。 今回の場合は、あなた・・・。すなわち、ヴェクター第一開発局、コスモス開発計画担当主幹技師、シオン=ウヅキとの 関係を円滑に保つために、「悲しい」という感情を表現する必要がある。と私のプログラムが判断した場合に限り、 そのように振舞います。ですが、現在、その必要はない。と判断します。」 「ははは・・・そうよね、それは私が一番知っていることなのよね。」 複雑な表情を浮かべた。 「ご理解いただけて幸いです。」 コスモスの機械的な言葉が仮想空間に響く。 シオンは、再度複雑な表情を浮かべた。 598 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 52 42 ID cMIoi3AX 今回の実験は、仮想世界におかれた仮想の敵を倒し、コスモスの戦闘データを取るというものだった。 「ねぇ、アレン君。今回は手順400を初めてみないかしら?」 「よ、400って、主任、先月のことを忘れたわけではないでしょう? あと10秒対応が遅れてたらそこから戻ってこれないような状態じゃなかったですか。」 シオンのことを心配するアレンは、声を荒げた。 「大丈夫、いざとなったら自力で脱出するから、それに、あなただって試したいでしょう? この実験のために、徹夜でいろいろ取り組んでたじゃない。」 「それはそうですが・・。」 「じゃ、決まり。始めて。」 シオンに興奮の色が隠せない。これから起こることに何かを期待しているかのように。 「知りませんよ?万が一の時にはこっちで強制的に切りますからね。」 「了解、了解。」 「あと、メニューにないことするのなしですよ?」 「わかってるってば。」 「んったく、気軽にいってくれちゃて。そのたびに寿命をちじめられるこっちの身にもなってほしいよ」 アレンは頭をかきむしりながら、シオンに聞こえないように、ぼやいた。 「副主任、ウヅキ主任のことになると、特に気を使われますからね。もう余命幾ばくもないんじゃないですか?」 研究員がアレンをからかった。皆、アレンの恋心に気づいているようだ。 「う、うるさい、余計なこといってないで、用意できてるのか?少しでも異常があったら、即刻強制終了するからな。」 手順400が始まった。状況は順調で、研究員たちも安堵の表情をうかべた。 「特に変わったことは見わたりません。状況、安定しています。こりゃあ行けますよ。先月の汚名、返上だ」 「だといいがな・・。」 不安げに、アレンがつぶやいた。 「コスモス、クリアポイントに到着。ターゲットモンスター、G型へ変換。表示、始めます。」 コスモスの前に、巨大なモンスターが現れた。コスモスが戦闘態勢に入る。 599 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 54 30 ID cMIoi3AX そのとき、プログラムに異常が発生した。コスモスの戦闘能力が過剰に上昇し、暴走しかけているのだ。 だが、シオンはそのような状況をものともしなかった。 「アレン君、これからターゲットとの戦闘態勢に入ります。データ取りよろしく。」 「そんな!?主任、こんな不安定な状況で戦闘なんて危険すぎます!」 アレンは声を荒げた。 「大丈夫、まだいけるわ。ヒルベルトを試します。」 「しゅ、主任、メニューに無い行為はしないって・・・!!」 シオンはその言葉を無視するかのように、コスモスに話しかけた。 「コスモス、ヒルベルト発動。」 「了解しました。ヒルベルトエフェクト発動します。」 プログラムが暴走し、シオンの脳が危険な状態になってきた。 アレンはプログラムを強制停止させ、シオンを引き戻そうとした。 だがしかし、シオンがそれを拒絶し、プログラムが作動しなかった。 「限界です!崩壊まであと10秒・・・。」 「クソったれ!」 アレンは悲痛ともとれる叫び声をあげた。 「主任・・・。・・・そうだ・・・。」 仮想空間にいるシオン。 彼女の前に、光が集まってきた。その光はやがて少女のような人影へと変わっていった。 少女はゆっくりと顔をあげ、シオンと視線を交わした。 そのとき、仮想空間へダイブしたアレンがシオンの手を掴み、仮想世界から引き戻した。 仮想空間は光に包まれていく・・・。 600 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 56 17 ID cMIoi3AX 「主任はっ!?」 目覚めたアレンは、シオンの元へ急いで駆けつけた。 「えぇ、ありがとう、少し、粘り過ぎちゃった・・かな?」 あの仮想空間で見た少女は何だったのか。シオンは夢見心地だった。 ・・・あの少女とは・・どこかで・・。 「??何かあったんですか?」 「ううん・・・何でもないの。さぁ、急いでデータ解析を始めましょう。そろそろ上から催促がくる頃だわ。」 「本艦は3分後にゲートアウトします。非常時に備えてください。」 突然、艦内アナウンスが鳴り響いた。 601 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 02 58 04 ID cMIoi3AX 2 「全艦、ゲートアウト完了。」 「次のゲートジャンプができるまで7時間36分。それまでジャンプは不可能になります。」 「次で最後か・・・。」 艦長と思える人物が虚空を目上げた。目に落ち着きが無い。 「はい。次のゲートジャンプとなります。あと少しの辛抱です。」 艦長の横に立っている男が言った。 見た目は普通のマジメそうな30後半の男だ。その鋭い眼光を除いて。 「大丈夫ですよ。ここまでくれば接触率低いですし。それに小惑星も多いですから、”ヤツラ”から 身を隠すには都合が良いものです。」 「ふん、気楽なものだな。小惑星なぞ、気休め程度にしかならんぞ。」 男は、声を沈めオペレーターを睨んだ。 「厳しいな、アンドリュー中佐。何かあったのか?」 「いえ・・・別に・・・。」 アンドリューという名の男は下にうつむきいた。 「例の物体を回収してから緊張の連続でしたからね。中佐のお気持ち、わかります。」 その”例の物体”に疑問点を持っていたのか、一人のオペレーターが質問した。 「艦長、差し支えない範囲で結構なので教えていただけないでしょうか? 当初の作戦の目的は、惑星消滅事件の調和および調査隊の護衛であったはずです。 それが、”あの物体”を回収してから様相がいっぺんしたように感じられます。 いったいなんなのですか?あれは。」 「さて、調査隊からは何の報告は受け取らんよ。ただ、先日伝えた”ヤツら”もあの物体を狙っているらしい。 という情報だけはえている。もちろん非公式だがね。」 艦長は、私もよくわかっていない。という表情をしている。 「回収のさい、何名かの犠牲者が出たという噂がありますが。」 「それが事実だとしても、われわれに知る権利がない。もともと調査隊も我々とは別の命令系統で動いているし、 我々に与えられた命令書にも『当該宙域にて何らかの”回収物”が存在した場合、全ての事象よりもその確保を最優先す』 と書かれているだけだ。」 「全ての事象・・・といいますと?」 「我々の命よりも。というわけだ。」 アンドリューが言い捨てた。 「そう脅すな。まぁ、星団連邦政府にしても今回の任務はそれだけ重要な作戦ということだろう。 気を引き締めて頼むぞ。」 艦長が微笑みながら皆に言った。 「そうですね。本艦には”有事の際の切り札”も配備されていることですし。」 「おぉ、そうだ。切り札のことなんだが、すまんが中尉、ウヅキ主任に報告データが整い次第、 ブリッジに来るように伝えてくれ。それと、これまでのデータも提出するように・・と。」 「了解しました。」 602 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 00 04 ID cMIoi3AX 3 コスモス研究室に電話がかかってきた。 「・・・・了解しました。30分後にそちらに出頭します。」 「早速きましたね。出頭命令」 「でしょ?私の勘って、結構当たるんだから。」 シオンが得意気に答える。 「では、これは提出するデータです。」 「ありがとう。これだけでいいわ。」 最近入ったばかりの新人研究員がシオンに声をかけた。 「主任・・あの・・・よろしいですか?」 「なに?」 「軍はコスモスの実働データを求めています。いいのですか?いつまでもシミュレートデータだけで。」 「うーん、、それ言われると痛いんだけどね、、。でも、出来ることならコスモスには いつまでも素敵な夢を見ていてほしいんだ。」 シオンは困ったような表情をしている。目も下にうつむいている。 「シミュレートではあれほど無茶をされるのに、なぜ実働となるとあれほど慎重になるのですか? 自分はコスモスが稼動している姿が見たいのです。現状で十分いけるはずです。」 シオンの困った表情を見て、アレンが口を挟んだ。 シオンは、2年前の事故があってから、実働には慎重になっているのだ。 アレンはそのことを知っているし、何より、彼女の困った顔を見たくなかった。 「現状でわざわざお姫様を起こさす必要はないよ。はいこれ、コスモスの装備要項。 連中を納得させる一助にはなるでしょ? 「サンキュー。気が利くね。」 アレンの助け舟にありがたく思ったのか、シオンはアレンに微笑んだ。 「じゃ、いってきまーす。」 笑顔で研究室を出て行くシオン、それを見るアレンの顔は、どこから見てもほころんでいる。 「世話女房ぶりも板についてきたんじゃないですか?副主任。」 同僚のトガシがにやつきながら研究所の後片付けをしている。 「な、何にやついてるんだよ、トガシ。」 顔を赤らめながら、アレンはシオンのデスクの片付けを始めた。 そこには肝心のデータフォルダが忘れられておいてあった。 「はぁ、、またか・・しかたないな・・。」 だが、アレンは少し喜んだ。二人きりになる口実が出来たからだ。 その感情が顔に出たのか、トガシがからかう。 「よかったですね。二人きりになれる口実ができて。ついでに食事でも誘って見ちゃどうです? こっちは僕らでやっときますから。」 「行くとき行かなきゃ、ダメですよ、副主任。」 「そ、そんなつもりじゃないって言ってるだろう!じ、じゃ、ちょっと渡してくるよ。」 舌をかみながら、アレンは言った。 「がんばってー。」 同僚たち一同の声が聞こえる。アレンはその声を聞きながら研究室を出た。 彼は奥手だ。シオンのことは愛しているはずなのに、言うことができない。 そんな彼はぼやく。 「僕だって・・行けるもんなら、行きたいさ・・。」と。 603 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 01 52 ID cMIoi3AX 4 シオンはブリッジへの道を歩いていた。その途中にある格納庫。そこにはゾハルがあった。 彼女は格納庫を通りながら、考えていた。やはり、みんな稼動してるコスモスを見たいのか。 2年前の、彼もそういっていた・・・。 2年前のコスモス開発局 シオンは残って残業をしていた。あしたまでにまとめておくデータがあったからだ。 パソコンに向かう彼女の後ろに、男性の姿があった。 「まだ残っていたのかい?無理して体壊しちゃ、何にもならないぞ?」 微笑みながらシオンに話しかけた。手には手包みをぶらさげている。 「あ、お疲れ様です。明日までにどうしてもまとめておくデータがあったものですから。 ゲビン先輩こそ、こんな時間までどうなされたんですか?」 「はい、差し入れ。」 ケビンは彼女の横に手包みを置いた。そして、コスモスの眠っている特殊な装置のほうへ歩いていった。 シオンもその後に続く。何も警戒しないということは、彼女は彼に心を許しているということだろう。 ケビンはその装置を見ながら、つぶやいた。 「実は、ある悩み事があってね、寝付けないんだ。」 「悩み事?」 「明日、いよいよ彼女は目覚める。その姿を見るのはとても楽しみなんだけど。目覚めた彼女になんと声をかけたらいいのか それで悩んでいたんだ。おかしいだろう?」 「おはよう・・・でいいんじゃないですか?」 シオンは微笑んだ。そしてコスモスの眠っている装置を触った。 「おはようかい?」 「朝起きたら、やっぱりおはよう、ですよ。」 「そうか・・・これでぐっする眠れそうだよ。ありがとう。」 ケビンは彼女の肩に手を乗せ、微笑んだ。 ・・・・そうだよね。みんなも早く見たいよね・・・。 シオンは彼との会話を思い出ながら、ゾハルを見上げた。 その瞬間、鈴のような音が鳴り響くと同時に、シオン以外の周りすべてが動きを止めた。 静寂・・・その静寂の中に、再び鈴の音のような金属音が響く。 その音が鳴り響いている源に、彼女は仮想空間で見た少女を見つけ出した。 少女はシオンに何かを伝えようとしているようだが、彼女にはその言葉は届かない。 少女は話し終えると、ゾハルの中に吸い込まれていく。シオンはその後を追い、ゾハルに触れた。 するとゾハルの表面に、水面のように波紋が広がった。 シオンは気がついたら、ゾハルの前に倒れこんでいた。 シオンは手を眺める。ゾハルに触れたことは、幻だったのだろうか・・。 604 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 03 24 ID cMIoi3AX 5 さっきのことは何だったのだろうか?彼女は考え込んでいた。 後ろから声が聞こえる。聞いたような声だ。誰だろう。彼女は振り向いた。 「アレン君!?」 「アレン君、じゃないですよ主任。肝心のデータ忘れていったでしょ? 危ないですよ、ぼーっとしながら歩いてると。」 「うん、ごめんね、ちょっと考え事してたから。」 そのとき、再び鈴の音がした。彼女はあたりを見渡す。だが、少女の姿はない。 「どうかしましたか?主任。」 「ん?うん・・気のせいよね。きっと。」 シオンは気に留めず格納庫を後にした。 しかし、彼女の後ろには二人を見つめる少女の姿があった。 アレンに先ほどのコスモスの件について感謝を言っていると、彼女に突然呼び出しがなった。 レアリエンの調整の呼び出しだ。 レアリエン・・合成人間といわれる彼らは、人間が過酷な環境を克服し、人間のリスクを削減するために 人によって作られた亜人間。彼らは使い捨て可能な労働力として社会に浸透し、 人間によって消費されていた。すなわち、奴隷である。 奴隷としての立場は14年前のミルチア戦争まで続き、その後社会的な権利を有する存在となった。 だが、レアリエンは工業製品であるというのには変わりが無い。彼らは生産されるのである。消費されるために。 そのレアリエンも調整(ケア)される必要がある。自身の自意識が芽生えたり、精神が不安定になることがある。 それをケアするのが、シオンは好きだった。なぜかというと、不安定なままのレアリエンは、廃棄されるからだ。 605 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 05 15 ID cMIoi3AX 6 シオンはレアリエン調整室へと向かった。 「どうも、シオンです。」 「あぁ、どうもウヅキさん、すみません、いつもいつも。」 人のよさそうで、髪をオールバックにしたカスパーゼが話しかけてきた。 目には疲れの色が浮かんでいる。人員不足だろう。 「いいんですよ、カスパーゼ大尉。みんな(レアリエン)にはいつも元気でいてほしいから・・。」 カスパーゼはシオンに今回のトラブルを話した。シオンは着々とトラブルを解決していく。 「一応調整しておきましたけど、また何かありましたらヴェクター本社までご連絡ください。 そちらで本格的なケアをされたほうが良いと思いますから」 「わかりました。ありがとうございます。 しかし、すごいですね。コスモスの開発だけでなく、レアリエンたちのメンタルケアまでこなすとは・・・。」 「そんな、全部上司の受け売りです。それに、私は最初、この部署が志望だったんです。 実は、今の仕事が終わったらこっちに転属願いを出そうかと思っているんですよ。」 シオンは眠っているレアリエンを見つめた。その表情は、眠っている我が子を見る表情に似ている。 「第一開発局は、エリート中のエリートが配属されるところでしょう?それなのに転属願いなのですか?」 「ええ、家族からもよく言われるんですよ。何かの書類ミスに違いない。ってよく言われますし。 私もそう思います。それに、、彼らのこと、もっと知りたいんですよ。」 「そんな連中のことを知る必要もなかろう!?」 声の方向に振り返ると、眼光の鋭い金髪の男がいた。 背が高く、物腰が明らかに軍人と思わせる。彼の顔右頬の皮膚は、色が変わり、硬くなっている。やけどのように・・。 「バージル中尉!?」 カスパーゼが、この突然の来訪客に驚いたようだ。声の調子からも、あまり好ましい客ではないらしい。 「匂いだ・・この匂い。なぁ、あんたも感じないか、この匂い。吐き気を催す匂いだ・・。」 バージルはまるで汚い物を見るかのように、あたりを見回した。 シオンは絶句している。言葉も出ない。 606 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 06 21 ID cMIoi3AX バージルは毎回来ては、何かとレアリエンを罵っているのだろう。 カスパーゼは、声を荒げ、バージルに食って掛かった。 「いい加減にしないか!少佐から事前に指示はあったろう?今回の作戦はA.G.W.Sと 新型レアリエンとの相互支援も目的としているんじゃなかったのか?それをお前は・・・。」 「相互支援だ!?はん!ヤツら相手に、実戦で使える保障なんてない、 ”戦闘用レアリエン”との相互支援なんざ、俺は願い下げだぜ!」 「お言葉ですけど・・・彼ら戦闘用レアリエンは優秀な兵士・・・。」 正気を取り戻したシオンも、バージルへ反論した。 「彼らぁ?たかが備品を人間扱いかい。」 シオンの抗議も、バージルは聞く耳をもたない。 「あ、それ問題発言ですよ。彼らは私たちと同様、知性も感情も備わっているし、 それにレアリエンの基本的人権は4763年に制定されたミルチア懸賞で謳われているはずです。」 「お為ごかしか。反吐が出るぜ。表面上いくら人道主義とっても、お前たちヴェクターの人間にとっちゃ 備品は備品だろうに。否、”商品”か」 バージルは小バカにするようにシオンを見つめた。 「私たちは彼らを備品扱いも、商品扱いもしてません!」 「ならなぜ、”戦闘用レアリエン”なんて、分類ワケがされているんだ? それこそ商品扱いしてる証だろう?何をいったところで所詮は戦の道具。それに知っているぜ。 お前たちヴェクターの人間たちは、”商品管理用の緊急制御コード”があるってな。」 シオンは絶句した。確かに・・ある・・。だが、それは・・・。 そのとき、レアリエンの一人が立ち上がり、バージルを見つめた。 「な、何だよ?」 バージルも突然のレアリエンの行動に驚いたのか、たじろいだ。 「中尉のおっしゃるとおり、確かに我々は”商品”として製造され、そのための教育を施されました。 ですが、私は今のこの”仕事に”誇りを持っています。 それは誰にも強制されない”私自信の意志”なのです」 607 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 09 20 ID cMIoi3AX 以下、余談 すいません、余談です、読み飛ばしていただいても結構です。 このゲームの副題が、力への意思。知ってる人は知ってると思いますが、これはニーチェの本です。 ドイツの哲学者である、フリードリヒ・ニーチェ。 彼は自分自身でたっている人間こそがもっとも美しく、すばらしい人間と考え、 キリスト教を弱者の宗教と言い、「神は死んだ。」という、有名な言葉も残っています。 たぶんこのゲームの作者はレアリエンという人ではない生物をポイントとして、ニーチェ哲学を語ってみたかったのではないでしょうか。 このレアリエンのセリフでもある”私自身の意思”という言葉。人間は弱い存在で、その弱い存在を認めた上で、 自分は過去にも、未来にも存在してはいない。現在にも自分と同じ人は一人もいないし、これからもいない。 「何か。」を成すためにこの世に連れてこられたと、考えた・・はずです。 だからニーチェは、自分の意思で、その目標への苦難の旅へと向かっている人の、なんて美しいことか!とも言っています。 これが俺自身へのニーチェの全体的な感想です。といっても、ニーチェの著者では、私は若き人々への言葉、力への意思しか読んでませんし、 まったくのど素人の解釈ですから、鵜呑みにすると困ります。たぶん解釈も間違ってる気もしますし・・・。 余談が長引きました。本編の続きを書きます。失礼しました。 608 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 14 52 ID cMIoi3AX 「ふん、自由意志ってわけか・・。まあいい、今のうちに享受しておけ。 そのうちわかるときがくるさ。この俺のようにな・・・。」 そう言い捨て、バージルは調整室を出て行った。 「すみませんでした、ウヅキさん。昔はあんな奴じゃなかったのですが、あることがきっかけで・・・ね。」 カスパーゼは申し訳なさそうな顔をして、頭を下げた。 「いえ・・彼とは、お知り合い・・何ですか?」 「あいつとは士官学校の同期でね。腐れ縁ってやつです。・・・ミルチアです。」 「そうですか、それで・・・。あ、いけない。ブリッジに出頭しなければならないのです。 それでは失礼します。レアリエンたちはまた後で見ますから。」 「いや、どうもありがとうございます。すいません、嫌な思いを・・。」 そう言い、再びカスパーゼは頭を下げた。 7 「すいません、遅れてしまって。」 「10分の遅刻ですね。通りで開発も遅れるわけだ。」 アンドリューが、シオンをにらみながら言った。そして、それからアンドリューのシオンに対しての説教が始まった。 コスモスの稼動データがないこと、ここが軍艦であるということに自覚がないシオンに苛立ったのであろう。 途中で、アンドリューに呼び出しがあった。顔が緊張した表情に変わり、そそくさと退室していった。 「ご期待にそえなくて申し訳ありません。」 シオンは艦長に謝った。 「なに、謝ることはないよ。今日は自室に戻って休みなさい。」 609 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 17 49 ID cMIoi3AX 8 アンドリューは、焦っていた。まさか、いきなり呼び出しがあるとは思ってもいなかったからだ。 急ぎ足で通信室に行き、通信をつなげた。画面に、顔が映った。司令の顔だ。 右目の上から下にかけての切り傷、冷たい目。 「失態だな・・・。アンドリュー。回収には細心の注意を払えと前もって忠告してあった筈だ。」 「はい、”機関員”に犠牲者が出たことは弁解の余地がありません。ですが、我々も・・・。」 アンドリューは苦い顔をした。機関員に犠牲者が出たのは明らかな失態で、弁解の余地がないからだ。 このことを攻められると思い、下をうつむいた。 「些末な事象など、どうでもよい。問題なのはゾハルに人が接触し、人が”消えた”ということ。 そしてその後、”通常空間に晒した状態”で移送していることだ。そして・・・。 貴様の艦隊にヤツラが接触する推定予測時間は5時間と22分後だ。」 「まさか!?やつらが!?」 驚きを通り越して絶句した。奴らがきたとしたら、このような艦隊では耐えられるわけがないのだからだ。 「だから失態といった。1時間前に増設艦隊を差し向けた。それまでの間、なんとしても保たせろ。」 「ま、間に合うのですか?」 「保たせろ。といっている。幸いにして、貴様の艦には”例の兵器”が搭載されているだろう。」 「お、お言葉ですが、あれはまだ実働試験にさえ写ってないのです!危険すぎます!」 「あれの力は、”貴様が一番良く知っている”だろう?多少不安定でもかまわん。急がせろ。」 「で、ですが・・・。」 「以上だ。」 通信が切れる。 「お待ちください、司令!マーグリス司令!」 610 XenosagaEpisode1 sage 05/02/28 03 19 20 ID cMIoi3AX 9 自室に戻り、休んだシオンは夢を見た。 遺跡のような場所にたつシオン。あたりには霧が立ち込めている。 鈴の音が静寂を破る。音のした方を見ると、そこにはあの少女の姿が・・・。 二人は視線を交わすが、少女はふと別の方向に目を向ける。 少女の視線の先には、少年のような人影があった。 「う、、うん・・・。」 夢にうなされるシオン。そのシオンの枕元に立つ少女。 そして少女は何かに気づいたかのように、船の外に目を向ける。 32 名無しさん@お腹いっぱい。 sage2005/03/24(木)01 24 31ID 9P5lIrk+ ゼノサーガep1、行きます。 文章構成上、ストーリー展開が前後したり、 結構話に絡んでるのに文中に出てこないキャラ(アレン、キルシュバ等)が いたりしますが、ご容赦下さい。 33 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 25 18 ID 9P5lIrk+ 星団連邦に所属する惑星アリアドネが、突如として謎の消失を遂げた。 その調査に赴いた巡洋艦ヴォークリンデは、本来の目的である調査もそこそこに、 当該宙域に浮遊していた謎の物体ゾハルエミュレーターを収容し、帰還することになった。 その収容作業中、ゾハルに触れた作業員が消滅すると言う事故が起こっていた。 この巡洋艦ヴォークリンデには、14年前より突如として現れ人類の脅威となった、 グノーシスと言う怪物群に対抗する為のヒト型アンドロイド、コスモスが配備されていた。 しかしながらそのコスモスは、未だ実働試験すら行われておらず、 仮想空間(エンセフェロン)におけるテストをしている段階であった。 ヴェクターインダストリー1局所属のシオン・ウヅキは、そのコスモスの開発主任だ。 彼女は、コスモスに対して、母親や姉のような感情を持っていたが、一方で恐れてもいた。 数年前の実験中、コスモスが暴走し、同僚や愛する人を殺されてしまったからだ。 そのせいか、シオンは実働試験に対して二の足を踏んでいる状態だった。 対グノーシスの切り札として配備されたコスモスが、起き上がる事すら出来ない。 調査に同行した軍関係者からは、その事を毎日のように責められていた。 この日も、試験を終えたシオンは、ブリッヂから呼び出しを受け、開発室を出た。 ブリッヂへ向かう途上、ゾハル格納庫を通った彼女は、そこで少女の幻影を見た。 少女は、何か言いたげな、哀しみを裡に秘めた表情でシオンを見つめていた。 シオンが歩み寄ると少女の幻影は消え、そこには金色に光るゾハルがあるだけだった。 不思議な感覚に囚われながらも、彼女はレアリエン調整室へ向かった。 レアリエン。それは、様々な用途に応じて造られた人造人間のことだ。 シオンは、このレアリエンとの交流を好み、エリート中のエリートが集まる1局から、 レアリエンを扱う3局に転属願いを出しているほどだった。 彼女がレアリエンの調整を手伝っていると、バージルと言う中尉が現れた。 彼はレアリエンを極度に嫌っており、この時も居丈高に見下し、罵った。 現在、レアリエンには人権が認められていると反論するシオンだったが、 それを商品としている事を指摘されると、彼女は言葉を詰まらせた。 「お為ごかしは反吐が出る」そう吐き捨て、中尉は立ち去った。 いい加減寄り道が過ぎたので、かなり遅刻してブリッヂに着いたシオン。 アンドリュー中佐は、それも含めて毎度の如くネチネチと小言を繰り返すが、 緊急呼び出しの通信が入ったため途中で切り上げ、ブリッジを出て行った。 運良く開放されたシオンは、艦長に労われ、自室で休む事にした。 アンドリュー中佐は、画面の向こうのマーグリスに叱責されていた。 U-TIC機関。ゾハル研究の為に創設された政府直属の機関であったが、14年前の ミルチア紛争を機に、反政府武装集団の色を強め、各方面に工作員を潜入させていた。 マーグリスはそのU-TIC機関の司令であり、アンドリューは工作員の一人だった。 惑星アリアドネの消失も、この組織がゾハルの起動実験をその地で行った結果であり、 調査隊が事件の調査もそこそこに帰還したのも、連邦軍に潜入していたアンドリュー達 の目的が、ゾハルの回収であったからなのだ。 ゾハル。それは、局所事象変異を引き起こし、グノーシスを呼び寄せる。 その危険性から、それを確保して封印しようとする者と、兵力として利用しようとする 者との間で激しい争奪戦が繰り広げられていた。 この非常に危険な物体の取り扱いには、細心にも細心を重ねた注意が必要だった。 しかし、アンドリューたちはその扱いを間違った。 ヴォークリンデには、すでにグノーシスが迫ろうとしていたのだ。 コスモスを使え。その命令に狼狽する中佐を無視し、マーグリスは通信を切った。 34 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 26 16 ID 9P5lIrk+ ブリッヂに警報が鳴り響いた。艦隊前方にグノーシスが出現したのだ。 母船タイプのグノーシスから射出された怪物たちが、次々と艦内に侵入してくる。 対グノーシス用兵器エイグスが出撃するが、通常兵器の効果は無く、撃破されてゆく。 グノーシスに掴まれた人間は白化し、砕け散った。 有効な対抗手段も無いまま、ついにヴォークリンデのブリッヂが沈黙した。 アンドリュー中佐は、宇宙服を着込み、ゾハル格納庫へ向かっていた。 格納庫ごとパージし、ワープさせる。無謀な作戦だったが、中佐にとっては、 コスモスを起動させるよりも遥かにマシな作戦だった。 なぜならば、中佐も、コスモスの暴走事故に立ち会っており、その恐ろしさを 身をもって知っていたからだ。 そもそも、実験中のコスモスを起動させたのも、彼らだった。 コスモスの強奪を目論み、内通者から起動用ギアを受け取ってラボを襲撃した彼らは、 しかしコスモスの暴走により惨殺され、唯一アンドリューだけが生き残った。 今、中佐は死を覚悟しながら、格納庫に向かっていた。 その中佐の覚悟も、無駄となりそうだった。コスモスが自律モードで起動を始めたのだ。 開発室のメンバーが恐怖で凍りつく中、ゆっくりと身を起したコスモスは、シオンを 保護するために動き出した。 その頃シオンは、グノーシスに追われた所をエイグスに乗ったバージルに助けられていた。 しかし彼の攻撃は効果が無く、逆に反撃を受け仲間を失ってしまった。 なにか手段が無いものかと考えた彼は、シオンの携帯端末を奪い、レアリエンを 自爆させる緊急制御コードを起動させた。 爆風が晴れると、彼は歯噛みした。仕留め切れなかったのだ。 反撃を受け、倒れこむバージル。そして、グノーシスはシオンに襲い掛かった。 足元から白化してゆくシオン。彼女が死を覚悟した時、閃光がグノーシスを貫いた。 コスモスの攻撃だった。グノーシスを実数空間に固着するヒルベルトエフェクトを展開 した彼女は、その圧倒的な戦闘能力でグノーシスを掃討した。 ゾハルの格納庫では、アンドリュー中佐が必死で乱れたシステムと格闘していた。 そこへ、脱出艇に乗るためにシオンたちが駆け込んできた。 グノーシスは途切れなく襲い掛かり、抗戦を続けるシオンたち。その中で、 コスモスがバージルごと敵を撃った。バージル、「フェブ…」とうわ言を言いながら即死。 シオンは、コスモスの非道な行動に怒りを露わにしたが、コスモスのプログラムでは、 ヴェクター関係者の保護>敵勢力の殲滅>>>>>それ以外の人間の保護であったため、 コスモスはそのプログラム通り、確実な方法を選択しただけなのだ。 「私は人間ではありません。ただの兵器です」 その言葉にショックを受けるシオンは、鬱然として脱出艇に乗り込んだ。 シオンたちと中佐の乗った脱出艇を見送ったコスモスは、もう一つの目的である ゾハルの確保の為、周辺に群がるグノーシスを除去しようとした。 しかし、いかにも多勢に無勢であり、結局はゾハルを持ち去られてしまう。 彼女はゾハルが収容されたグノーシス母船にマーキングを施し、その事を本社に報告、 次の司令を受け、第二ミルチアへ向かう事とした。 ヴェクターCEOのヴィルヘルムは、赤の外套者からその報告を受けていた。 「全ての事象は、この 秩序の羅針盤 の示すとおりに動く……」 そう、彼はつぶやき、デスクの上の構造物に目をやった。 35 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 27 52 ID 9P5lIrk+ クーカイ・ファウンデーション所属の不定期貨客船エルザが、ヴォークリンデの 遭難現場に向かっていた。だが、目的は救助ではない。艦の残骸を回収し、 それを売って船長の借金返済の足しにするためだ。 そんなエルザに、コスモスが襲い掛かった。キャノピーにパンチでヒビを入れられ、 第二ミルチアまで乗せてけと脅迫された船長はしぶしぶ承諾した。 ブリッヂにコスモスが入ってくると、脱出艇で漂流していたシオンから通信が入った。 エルザに収容しろと言うシオン。そのまま漂流していれば助けが来ると言うコスモス。 二人が押し問答していると、エルザの乗組員ケイオスが仲裁に入った。 彼は船長の信頼も篤く、その彼の取り成しでシオンたちもエルザに収容され、 第二ミルチアへ向かう事になった。 収容された後、ブリッヂへと挨拶に訪れたシオンたち。そこへ、グノーシスが現れた。 アンドリューが掴まれ、白化して行く。慌てふためくシオンたち。だが、ケイオスが グノーシスに手をかざすと、グノーシスは霧のように消えてしまった。 これが、ケイオスが船長に信頼されている理由だった。 騒ぎが落ち着いた頃、そのケイオスが、ヴォークリンデでの戦闘で不具合が出たため エルザの設備で調整をしていたコスモスに近づいていった。 機能を停止して眠っているコスモスに、彼はそっと呟いた。 「やっと会えたね……本当の君はどこに眠っているんだい……?」 プロジェクト・ゾハル。ゾハルの研究を進める事により、全ての事象を論理的に解明し、 また、人類の悲願であるロスト・エルサレム(地球)への帰還を目的とした研究である。 そのプロジェクトを推進する接触小委員会の会議が、連邦主星フィフス・エルサレムの 衛星軌道上のコロニーで開かれていた。 オリジナル・ゾハルが眠る、閉ざされた旧ミルチアへの道。その道を開くための鍵となる Y資料がU-TIC機関に奪われた。 U-TIC機関の責任者であり、彼以外にゾハルを解明する事は不可能とさえ言われた 天才ヨアキム・ミズラヒ。彼が遺したY資料なくしてもまた、ゾハルの研究は進まない。 その奪還の為、U-TIC機関の拠点への潜入を命令されたのは、ジグラット8と言う 型式番号のついたサイボーグだった。彼が見せられたのは一人の少女の写真。 百式観測用レアリエン。ヨアキムの最後の発明であり、対グノーシス用の索敵能力と ヒルベルトエフェクト展開能力を付与されたレアリエンだ。 百式は、彼と、その元妻であり現接触小委員会委員であるユリ・ミズラヒの亡児サクラを モデルとして創られ、そのプロトタイプであるモモには、Y資料が封印されていた。 成功の報酬として、ジグラット8は、自らの生体脳を人工部品に換装する事を望んだ。 彼は生前、ある男に妻子を殺され、それを苦に自殺を遂げていた。 サイボーグとして蘇ってからも、その記憶が彼を苦しめ続けていたのだ。 小惑星プレロマ。古代宗教の聖堂だったこの場所に、U-TIC機関は拠点を構えていた。 そこへ潜入し、モモを見つけ出したジグラット8は、モモに「ジギー」などと愛称を つけられたり、マーグリスと一戦交えたりしながら脱出。作戦を成功させた。 追っ手を撒いた後、モモは早速フィフス・エルサレムへ船を向けようとした。 だがユリの指令では移送先は第二ミルチアとなっていた。その事をジギーから告げられ ると、モモは寂しそうな顔をした。彼女は「ママ」に会うのを楽しみにしていたのだ。 その頃エルザではシオン特製のカレーが振舞われ、皆、ひと時の休息を取っていた。 そんな中、アンドリュー中佐は、未だ機能を停止したままのコスモスに見入っていた。 彼女に銃を向けるが、恐怖で手が震え撃つ事ができなかった。 36 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 28 44 ID 9P5lIrk+ シオンは、本社への連絡の中で、局長に対して声を張り上げた。 第二ミルチア到着後、コスモスを2局に引き渡すと言われたのだ。 シオンは、コスモスが何の命令も無く独自に稼動しており、実戦配備は時期尚早と説明、 コスモスの監察を続ける事を局長に認めさせた。 エルザが第二ミルチアへ向けてハイパースペース内を航行していた時、同じくジギー達も その中にいた。しかも、U-TICの無人兵器に張り付かれている状態だった。 ジギー達からエルザに向けて救難信号が発せられた。 初めは日和見を決め込んでいた船長だったが、エルザが被害を受けるや一変、 ジギーたちを援護して敵勢力を掃討、彼らを船内に収容した。 落ち着いた所で話を聞くと、ジギー達も第二ミルチアに行くというので相乗りする事に。 だが、先の戦闘でダメージを受けた船を修復する為、まず手近なコロニーに向かった。 その途上、アンドリューはプレロマに通信を入れていた。百式を確保したと。 だが、マーグリスは帰還命令を伝えただけで、早々に通信を切った。 そのマーグリスの下に、謎の男アルベドが現れた。彼はモモを連れ戻すと言い残し、 狂ったような笑い声を上げながら立ち去った。 「……モモ…か……。可愛いペシェめ……」 マーグリスの副官ペレグリーは、アルベドに任せることの危惧を口にしたが、 利用価値はあると、マーグリスは言う。目的は違うが、必要な物は同じなのだと。 惑星アリアドネのあった座標に、クーカイ・ファウンデーションの武装艦デュランダルが 停泊している。この宙域の調査をするためだ。 クーカイ・ファウンデーション。14年前のミルチア紛争の事後処理の為に設立された、 財団法人である。紛争後の武力衝突に対抗するために備えた武装は、連邦艦隊にも 匹敵するとまで言われているが、現在は副業として始めた事業展開を中心としている。 しかしながら、ゾハル・エミュレーターの回収もその役割としている為、ゾハルの影響と 思われるアリアドネ消失事件の調査に赴いたのだった。 ファウンデーション理事ガイナン・クーカイの養子であり、副理事でもあるJr.は、 現場を見て唖然とした。そこに惑星があったと言うあらゆる痕跡がなくなっていたのだ。 さらに調査を進めるため、次に彼らは、ヴォークリンデの遭難現場に向かった。 そこでようやく、ゾハルの残滓を発見する事が出来た彼らだったが、現場に潜伏していた U-TICの戦艦から攻撃を受けてしまう。 反撃に転じ、戦艦内部を制圧。U-TICの情報を得るために艦のマザーフレームに アクセスしたJr.だったが、敵残存勢力に阻まれ、結局徒労に終わった。 一方その頃、シオンたちを乗せたエルザは、ドックコロニーに入渠していた。 修理が終わるまで、船外へ出て休息を取る一行。しかし、このドックコロニーは、 ミルチア紛争の頃から軍関係者への反感が根強く残っている場所だった。 住民の話から、地元の青年達にアンドリュー中佐が連れて行かれたと知り、後を追った シオン達は、人間業とは思えぬほど無残に惨殺されている青年達を発見した。 一方の中佐は既にエルザに戻り、傷の手当てを受けていた。 結局、事件はうやむやのまま、エルザはコロニーを離れた。 この一件以来、中佐に変調が表われ始めた。人知れず体を苦痛に悶えさせ、その度に 薬剤を注射して抑える。彼の脳裏に、エルザでグノーシスに襲われた時の記憶が フラッシュバックする。彼の発作は時間を追うごとに悪化しているようだった。 シオンは夢を見ていた。ヴォークリンデで見た幻影の少女が、彼女に語りかける。 「彼の最後の気持ちを理解できるのは貴方だけ。それが彼の安らぎ……」 37 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 29 41 ID 9P5lIrk+ 不可解な夢から目覚めたシオンは、突然の振動に襲われた。 エルザが、ハイパースペース外から干渉を受け、引き寄せられていたのだ。 通常空間に引きずりだされたエルザは、周囲を莫大な数のグノーシスに囲まれていた。 さらに引き寄せられたエルザは、巨大なグノーシスに飲み込まれていった。 この異変は、デュランダルも察知していた。艦内に保管されている11機のゾハル・ エミュレーターが共鳴を始めたのだ。デュランダルは、波動の発生元へと急行した。 気がつくと、シオン達は生身でグノーシス内部に放り出されていた。 はぐれてしまったエルザと中佐を探すために移動を始めた彼女達は、その途上、明らかに 人工的な看板や、自動車の残骸を発見した。 シオン達とはぐれ、一人さまよっていた中佐は、それらに見覚えがあった。 そこは、彼らがゾハルの実験をしたアリアドネの市街そのままだった。 悪夢を見ているような気持ちで彼はさまよい続けた。 グノーシスの中心部まで到達したシオン達は、そこでゾハルと、前後不覚になった中佐を 発見した。中佐は、ゾハルを背にするとグノーシスと化した。 「同じだ……あの時と……」ジギーが呟いた。 襲い掛かる中佐を、やむを得ず撃退したシオン達。 中佐が断末魔の叫びを上げる中、シオンは彼の心に触れていた。 戦争の道具としてこの世に生を受けた彼は、戦後の社会に適応できなかった。 社会に受け入れられない孤独から、彼は凶悪犯罪を重ね、その度に人格矯正処置を受けた。 そして最後には収容所の職員と連邦軍三個小隊を一人で壊滅させてしまった。 そこでマーグリスに拾われた彼は、マーグリスの信頼を受け心酔し、忠実な部下となった。 今、彼は虚無の浜辺に佇み、安らいだ顔をしていた。 「ここは良い…、怒りも悲しみも、喜びも未来も…俺以外のものは何も存在しない……。 その俺自身もやがて消える…。……シオン、遠からずお前もここに来る……きっと……」 そう言って、彼は消えていった。 アンドリュー中佐を殺してしまった事にショックを受けるシオン。 だが、感傷に浸る間もなく、その場所が崩壊を始めた。 逃げ出したシオン達は、エルザに救出され、その場を離脱した。 グノーシスの包囲網を抜けようと全力で航行するエルザ。それを、駆けつけた デュランダルが援護する。しかし、そのデュランダルも包囲されつつあった。 その時、コスモスがたった一人で船外へ出ようとしていた。 無謀だと止めようとするシオン。だが、コスモスはそれを聞き入れなかった。 「シオン、痛みは……私を満たしてくれますか……?」 今まさに迫らんとしているグノーシス群の前に立ちはだかったコスモス。 腹部から拡散ビームを発射し、一瞬のうちにグノーシスを吸収してしまった。 自分の知らない兵装が搭載されている事に呆然とするシオン。 「ケヴィン先輩……これが貴方の望んだ、本当のコスモスの姿なんですか……?」 彼女の戸惑いをよそに、エルザとゾハル・エミュレーターはデュランダルに収容された。 そして、エルザの補修の為、一行はクーカイ・ファウンデーションに帰港する事になった。 ワープするデュランダル。その後姿を、シメオンに乗ったアルベドが見ていた。 38 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 30 23 ID 9P5lIrk+ デュランダル内の隔離格納庫。そこに、シオン達は案内された。そこには、ゾハル・ エミュレーターが保管されていた。さらには、グノーシス変容体となり生命活動を 停止した人達も。グノーシスに接触された人間は、ほぼ例外なく変容体となる。 シオンはヴォークリンデでの出来事とアンドリューの最期を思い出し、背筋を凍らせた。 一方モモは、そのグノーシスをこの世界に呼び寄せた元凶が、当時U-TICに所属し、 ゾハル研究の途上で暴走したヨアキム・ミズラヒである事を知り、ショックを受けた。 彼女にとってヨアキムは、自分の誕生を心待ちにしてくれていた優しい「パパ」であり、 世間一般が評価する「狂人」とは程遠いものだったからだ。 暗く俯くモモ。しかしシオンは、ヨアキムの全てが否定される訳ではないとモモを慰めた。 ファウンデーションに入港するデュランダル。Jr.と良く似た理事がシオン達を迎える。 彼、ガイナンは、シオンに奇妙な感覚を覚え、執務室に戻った後、Jr.にそう告げた。 プロジェクト・ゾハル。その最重要機密であるコスモスの開発に携わるシオンが、 何らかの特殊な素質を持っているのではないか。ガイナンはそう考えたのだ。 プレロマ。マーグリスが、セラーズと言う男と通信している。 U.M.N.。その非局所性を利用して、全宇宙を時間的空間的束縛に囚われず結ぶ ネットワークシステム。その特性により、現在のワープ航法が可能となっている。 オリジナル・ゾハルの眠る旧ミルチアは、14年前の紛争時にU.M.Nの転移コードが 消失しており、Y資料にはそのコードが記録されている。 「いずれにせよ 総帥 をお待たせする訳にはいかん。プラン401を発動する」 マーグリスは、強攻策をとる決断をした。 その事は、アルベドにも伝えられた。 「場合によっては、ネピリムの歌声……使うやも知れん」 その言葉に、アルベドは笑い声で答えた。 デュランダル。先ほどイヤな話を聞かせたお詫びにと、Jr.がモモにペンダントを贈る。 二人の間に、気恥ずかしい空気が漂ったその時、衝撃が彼らを襲った。 ファウンデーションが、連邦艦隊に包囲されていたのだ。 連邦政府議会では、先のヴォークリンデ遭難が、デュランダルの攻撃によるものだとして、 ファウンデーションの強制捜査、及び既得権益の剥奪が議論されていた。 政府内に入り込んだU-TICの工作であった。証拠として、デュランダルがヴォーク リンデを攻撃する映像が映されたが、それは、U-TIC戦艦と戦った時の映像を たくみに合成したものであった。 デュランダル内に入り込んできた連邦兵士に拘束されるシオン達。だが、その兵士達は、 ファウンデーションと繋がりのある政府関係者が送り込んだ者達だった。 彼らの手引きを受け、シオン達は、嫌疑を晴らすために行動を始めた。 ヴォークリンデでの戦闘を記録しているコスモスのメモリーを回収し、反論の材料とする。 そのために彼女達は、コスモスのメモリー内にエンセフェロンダイブした。 39 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 31 06 ID 9P5lIrk+ 気がつくと、Jr.は銃弾の飛び交う戦場に立っていた。彼は、そこがどこか知っていた。 14年前のミルチア。彼と同じ顔をした少年達が、銃を乱射し虐殺を行っている。 彼は、悪夢を見ている気分になりながら、そばにいたモモに話し始めた。 Jr.やガイナン、アルベドは、U.R.T.V.と呼ばれる生体兵器だった。 彼らは、U.M.N.のオペレーションシステムであり、局所事象変異の源である ウ・ドゥに対する反存在として生み出された。 14年前、彼らは暴走したウ・ドゥを抑える作戦に就いていたが、U.R.T.V.達の 精神リンクの中心であったJr.は、ウ・ドゥに恐怖し、リンクを拒絶してしまった。 結果、Jr.とガイナンを除いた者たちはウ・ドゥに汚染され、暴走を始めたのだ。 この時の事を、彼は今でもトラウマとして心の裡に持っていたのだ。 気がつくと、シオンは14年前のミルチアの公園に居た。幼いシオンが、父に連れられて 行く。彼女が、父と過ごした最後の日の記憶だった。 重篤神経症治療施設。そこにシオンの母は入院していた。そして、そこで悲劇が起こった。 しかし、それはシオンとって心の奥にしまい込んだ、思い出したくない記憶だった。 気がつくと、シオン達は古びた教会に居た。祭壇の前に立つレアリエンを見て、シオンは、 再びトラウマを思い出した。フェブロニア。彼女が無残に食い殺される様を、シオンは 目の前で見ていた。 フェブロニアに促され、奥へ進んだシオン達は、幻影の少女ネピリムと出会った。 虚数世界と現実世界の狭間に住み、現実世界には僅かな時間しか干渉できない彼女達は、 その僅かな時間を使い、シオン達を導き、この仮想空間で会える時を待っていたのだ。 シオン達は、未来のビジョンを見せられた。くびきを離れ、暴走するウ・ドゥ。そして、 それに対抗する、本来の姿となったコスモス。二者の激突は銀河をも消滅させる。 しかし、未来は変えられる、シオン達に変えてほしい。ネピリムはそう言う。 グノーシスに触れられながら、グノーシス化しないシオンにはその力がある。 だが、心に弱さを持つ彼女達に、過去のトラウマを乗り越える強さを持って貰いたかった。 ネピリムが、シオンとJr.に過去を追体験させたのは、その為だったのだ。 別れ際、フェブロニアがもう一つ、彼女達に願いを託した。 フェブロニアの二人の妹、セシリーとキャス。ゾハル制御の媒体として、旧ミルチアで 今も呪縛に囚われている彼女達を開放して欲しい。フェブロニアはそう訴えた。 「ミルチアへ行けば全て分かるわ……」 ネピリムが最後にそう言って、彼女達は消えた。 エンセフェロン最奥部でコスモスの記録を回収したシオン達は、現実世界へ戻って行った。 その中で、ネピリムがケイオスに語りかけた。 「本当にこれで良かったの……? もう後戻りはできないのよ……?」 「分かってる……でも、 彼女 にはシオンが必要なんだ……」 シオン達の持ち帰った記録は議会で審議にかけられ、デュランダルの嫌疑は晴れた。 その事をマーグリスはアルベドに伝えた。ネピリムの歌声を使う時が来た、と。 40 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 31 56 ID 9P5lIrk+ ファウンデーションが艦隊と共に第二ミルチア上空まで達したとき、ケイオスが、 狼狽えて叫んだ。歌声が聞こえたのだ。その歌声は、グノーシスを引き寄せ、聞く者を 狂わせる。14年前のミルチア紛争でも、この歌声が人々を狂気へと駆り立てた。 歌声は、ヴェクターCEOのヴィルヘルムの元にも届いていた。 「……始まったね……」彼はそう呟いた。 そして、ファウンデーションがグノーシスに包囲され、市街地が襲撃を受けた。 迎撃態勢を取った連邦艦隊も、アルベドのシメオンによって壊滅させられていく。 混乱を極める市街地に飛び出し、住民の避難と敵の掃討にシオン達が奔走する中、 モモがアルベドに連れ去られ、その居城であるネピリムの歌声に囚われた。 ネピリムの歌声。元はヨアキムの研究施設であり、14年前はミルチアにあった物だ。 シオンも、当時母親の病室から見たことがあった。 それが、アルベドの手によってこの宙域まで持ち込まれていた。 モモの助けを求める声を感じ取ったJr.は、すぐさまシオン達と共に歌声へ向かった。 哄笑をもって彼らを出迎えるアルベド。14年の時を経て自らの分身と対峙したとき、 Jr.は冷静ではいられなかった。 激昂するJr.を挑発しながら、アルベドはモモの意識を侵食して行った。 最後のプロテクトに到達した時、彼にヨアキムのイメージが流れ込んできた。 「もう私には、これから起こる事を止められない。だからせめて、お前に託そう……。 時は交差する……。いずれお前は、彼女達と出会う……その時の為に……」 それは、モモが誕生する直前、ヨアキムが彼女に語ったメッセージだった。 Jr.の放った衝撃波と、Y資料のプロテクトがアルベドを弾き飛ばした。 アルベドはさも愉快そうに笑った。彼がプロテクトに触れた時、そこにコスモスと シオンのイメージがあった。ヨアキムが最後に残したY資料のプロテクトに、彼女達が 現れる意味。それを知って彼は笑っていたのだ。 アルベドの笑い声に激昂し、ポテンシャルを開放して挑みかかるJr.。彼の本質を 知っているケイオスが、顔色を無して止めようとする程のエネルギーが弾けようとした時、 突然の乱入者が二人の間に割って入った。 青の外套者。この時は正体を隠していたが、彼はヴォークリンデでコスモスに殺された 筈のバージル中尉だった。 彼は、アルベドにその役割を指摘して退去させると、後を追おうとするJr.を攻撃した。 その物理法則を無視した力に、なす術もなく膝を付くJr.達。 「無駄だな。貴様らと俺とは、この世界に存在する法則が違う。そうだろ、 大将 ?」 ケイオスに向かってそう言い残し、彼は消えた。 歌声の機能が完全に停止している事を確認し、シオン達はデュランダルへ戻った。 歌声を破壊するため、デュランダルの主砲が向けられたとき、異変が起こった。 残存していたグノーシスが、歌声に集まっていく。その中心には、アルベドのシメオン。 「なんだか遊び足りなくてな……戻ってきたぜ」 シメオンから莫大なエネルギーが発せられ、歌声の下に遥かに大きな建造物が出現した。 天の車。元々は宇宙の真理の解明の為に作り出された施設だったが、ヨアキムによって モモを生み出すためのプラントとして使われていた。この施設と歌声、そしてゾハルが 一体となった時、ミルチア紛争以上の悲劇が起こる。そのため、この施設は旧ミルチアが 封じられている二重ブラックホールへと廃棄されたはずだった。 アルベドは、先にY資料に接触した時、この天の車の存在と使い方を知ったのだ。 その天の車が青い光を放ち、グノーシスを吸収し始めた。それは、以前コスモスが 腹部から発射したビームと同質のものだった。 グノーシスをエネルギーとした天の車は、主砲の発射準備に入った。目標は第二ミルチア。 それを阻止するため、シオン達はエルザと共に天の車へと向かった。 41 ゼノサーガep1 sage 2005/03/24(木) 01 33 11 ID 9P5lIrk+ 「遅ぉい! 待ちくたびれたぞ」 天の車の動力炉で、アルベドは彼女達を出迎えた。 なぜこんな事を。Jr.のその問いに、アルベドは憎憎しげに答えた。 14年前の作戦の時、Jr.が心を閉ざした事で、歌声の浸食に身を任せるしかなかった U.R.T.V。消えていった仲間達の為にも、貴様を断罪してやる。そう言いながら、 彼はこうも言った。 「だが、俺は感謝してるんだ。おかげで俺だけは新たなる世界への道を見つけられた」 コスモスとシオンに目をやり、彼は笑い声を上げた。 「ついさっき、それを確信した。これはそれを確かめる為の余興さ。精々楽しんでくれ」 アルベドが姿を消した直後、動力炉と直結した巨大なグノーシスが姿を現した。 死力を尽くして動力炉とグノーシスを破壊したシオン達。 爆発が始まり、彼女達が脱出を始めたその時、天の車がミルチアに向けて降下を始めた。 地上への被害を最小限に食い止める。その為に、天の車を最小ブロックにまで分解する 方法を探し出した彼女達だったが、システムを起動してから脱出までの猶予が、わずか 1分しかない事が分かった。 これでは脱出できない。一同に絶望感が漂ったとき、コスモスが残ると言い出した。 コスモスの能力ならば1分で脱出できる。そう信じて、シオン達はその場を彼女に任せた。 天の車が崩壊を始めた。ギリギリまで内部で待ち続けるエルザ。しかし、崩壊はエルザの 直上まで及び、苦渋の決断をするJr.。エルザは離岸した。 ハッチ上で待っていたシオンは取り乱し、戻るように懇願した。 その時彼女にネピリムの声が届き、走るコスモスのイメージが流れ込んできた。 左舷前方400メートル。シオンがエルザを誘導した先に、コスモスが飛び出してきた。 コスモスを収容し、最高速で離脱を図るエルザ。そのままミルチアの大気圏へ突入する。 しかし、先の脱出でダメージを受けていたエルザは姿勢制御にトラブルが発生。 大気との摩擦で船が炎に包まれた。このままでは、エルザは消し炭になってしまう。 そんな状況の中、ケイオスは一人、悩んでいた。 「あなたは、どうするの……?」ネピリムの声が、彼の脳裏に響いた。 その時、コスモスが彼の前を通り過ぎた。 「 君 が……? 待って!」慌てて止めようとするケイオス。しかし、 「あなたの痛みを、私に下さい」そう言って、コスモスはハッチに向かった。 コスモスが、エルザを守るように船首に立った。彼女の瞳が青く輝いた時、ケイオスの 腕が光を放ち、ネピリムが空を仰ぎ、アベルが振り返り、秩序の羅針盤が共鳴した。 そしてエルザの船体を6枚の光り輝く翼が包み込み、船は大気圏を突破した。 「いい見物だった。あとは、ペシェとU.M.Nがリンクすれば……」 そう言って、狂った笑い声を上げながら、アルベドは去った。 その情報は、ヴィルヘルムにも伝えられた。外套者は、彼を自由にする事を危惧した。 「アベルの方舟へと至る扉を開けるのは、彼だけだからね。しばらくは……」 「ウ・ドゥと再びリンクする可能性が残りますが」 「彼にそこまでの力はないよ。あとは鍵の役割だけ……。まぁ、局所事象変異ぐらいは 覚悟しないといけないけど、その為に 君達 がいるわけだし……ね。……でも、彼を このまま端役にしておくのは惜しい……。彼の意思は素晴らしい輝きを持っている……」 ミルチアの海に、日が沈もうとしている。その夕日を傷ついた船体に浴びながら飛行する エルザのブリッヂで待つシオン。彼女の下に、コスモスが戻ってきた。 「任務完了しました、シオン」 「…………お帰りなさい」 Xenosaga Episode1 END
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【ゼノサーガシリーズ】からの出典 エスケープボール 初音ミクに支給。 M.W.S. ナタクに支給。 箱のような本体内に格闘用ナックル、帯電ロッド、スペルソード、ボム、ビームランチャー といった様々な武器が内蔵されている。 遠距離、近距離両方の攻撃に優れ、非力な人間でも高い攻撃力が期待できる優れモノ。 本来の使用者はシオン・ウヅキ。 タブバイク コロンビーヌに支給。 KOS-MOSの調整用のタブが変形して航宙バイクになったもの。 航宙機と合体すればコックピットになる。 ただし現在は飛行できず、様々な制限が掛けられているらしい。
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ゼノサーガ エピソードIII [ツァラトゥストラはかく語りき] 【ぜのさーが えぴそーどすりー つぁらとぅすとらはかくかたりき】 ジャンル RPG 対応機種 プレイステーション2 発売元 バンダイナムコゲームス 開発元 モノリスソフト 発売日 2006年7月6日 定価 7,329円 判定 なし ポイント 戦闘テンポや音楽は改善シンプルなコマンドバトルシナリオは微妙なまま ゼノシリーズ 概要 評価点 戦闘テンポ デザイン 音楽 シナリオ面 その他 賛否両論点 バトル面 問題点 シナリオ面 その他 総評 余談 概要 ゼノサーガシリーズの完結編。あまりの酷評から一気に評価を地に落とした前作、ゆえに高橋哲哉ら『エピソードI』のスタッフの復帰を望む声もあったが、今作もエピソードIIと同じスタッフが手がけている。 評価点 戦闘テンポ エピソードI、II共に問題とされていた戦闘のテンポは大幅に改善されている。 戦闘に入るまではほぼロード無し。敵シンボルに接触したら即戦闘開始と言っても過言ではない。 演出は全体的にスピーディーになり、Iの必殺技の復活により派手な演出から爽快感も得られるようになった。 またES戦闘(ロボット戦闘)も「アニマ覚醒」システムによる必殺技の爽快感が非常に高く、シリーズ内でも評価が高い。 デザイン 前作のようなリアルなキャラデザインではなく、田中久仁彦氏のデザインを尊重しつつアニメ版に近いデザインになったことで評価は持ち直した。 また機体のデザインも悪い評価はあまり見られない。 音楽 前作から梶浦由記氏が続投し、イベント以外に通常戦闘などすべての作曲を手がけた。 前作のようなサイバーチックな音楽から、エピソードIに近いクラシック調の音楽へ方向性が回帰した。 「the battle of your soul」「godsibb」「promised pain」など非常に壮大な雰囲気の楽曲がそろっており「完結作に相応しい完成度」と高く評価された。 シナリオ面 個々のエピソード(ジンとマーグリスの対決、ジギーの過去など)は見所もあり、完結のさせ方も熱くなれる。 『ゼノギアス』に登場したキャラクターに酷似した人物、酷似した機体が多数登場し、プレイした人ならにやりとできる部分も多い。 ある重要なキャラクターは(設定は異なるが)ゼノギアスに登場した人物と全く同じキャラクターデザインと名前である また、ある機体はゼノギアスの主人公機に見た目が似てるばかりか、構えや技、果ては真の姿までもが酷似しており、ファンなら歓喜ものである。 その他 ショップに装備品と言った、前作で廃止されていたRPGの基本的要素が復活。搭乗機のチューンナップも再び可能となった。 アレンやカナンなど旧作において、ただ同行するだけだった人物も一時的に戦闘に参加するようになっている。これまで描かれなかった彼らの勇姿を拝めるのも本作ならではである。 前作で廃止されていた用語集が復活した。旧作の復習が容易に出来る事も大きい。 但し、前日談FLASHの解説や一部設定の種明かしを用語集に任せ、メインストーリー上では省いていると言う問題も。詳しくは後述。 イベントリプレイ機能が搭載された。既に観たムービーや会話シーンを好きなだけ見返す事が可能になった。 賛否両論点 バトル面 上記の通り、テンポは格段に改善された反面、そのテンポの為に従来の要素を幾つか犠牲にしてしまっている。 ゼノギアスからの伝統であった「ボタンの組み合わせ」が無くなり、必殺技にしても新要素のアーツにしても、「コマンド選択」になってしまいかなり味気ない。 スピーディーにはなったものの、一部の演出は簡素化している。 特にエーテル発動時の演出も非常にシンプルなものになっている。ただ手を上げて淡々と「エーテルドライブ」と発声するだけで、発光や勢いのある掛け声、個性的なポーズと言った演出も無くなった。 前作までは「エーテルサーキット・オープン!」「我、力の一端を解放せり」など一人一人専用の台詞が用意されていたのだが、今回は全員同じ「エーテルドライブ」の一言である。 前作のバトルは多数の問題点を抱えながらも、その戦略性は評価されていた。しかし今回はそれも薄れており、あまり深く考えなくともそれなりに強化していればサクサク進むバランスである。 早くストーリーを進めたい人には丁度良いだろうが、じっくり戦略を練って戦いたい人には物足りない。 問題点 シナリオ面 全体的な完成度は高いとはいえない。 まず後半(特にDISC2)の展開がかなり駆け足で、描写が足りない部分が見受けられる。また上記のように個人個人のエピソード自体は完結しているが、それを優先したために組織間の思惑などはほとんど描写されない。 DISC2からはひたすらダンジョンが続く。一つのダンジョンをクリアしたらまたすぐに次のダンジョンが出現、もしくは次のダンジョンと繋がっている。と言う形のままラストバトルまでほぼノンストップで進む。ダンジョンの合間に濃いエピソードがある訳でもない。 因縁の敵との決着や真実の解明などはされるが、それも殆どダンジョンの通り道での出来事であり、ゼノギアスのようにじっくりストーリーを描いて行う訳ではないので、やはり駆け足感は否めない。 また台詞回しも一作目のような深い台詞回しが見られないと残念に思うファンもいる。 今作で主人公に復帰した「シオン」だが、前作で不評だったヒステリックで自己中心的キャラクター性がそのまま受け継がれている。 尚且つ中盤で自暴自棄に陥ってしまう事件が起きた後も、碌な休息時間もなしに次々と先を急がねばならない事件が連続して発生する駆け足な展開もあいまって彼女に対する心理描写が足りておらず、しかもイベント時にほとんど会話に絡まないので「一人で悩んでパーティーメンバーに暴言を吐いているようにしか見えない」と見られても仕方ないような構成になっている。 仲間も自分の船を襲われたり宇宙の危機が立て続けに起きるので余裕が一切無い。 その上、そんなゲーム進行なのにシオンが乱心するに至る根本的な原因についての解決策が最終決戦時においても仲間内からは一切提示されない。 唯一解決策を提示していた敵方の人物の方法も、その後の展開で根本的な解決になっていない事が明らかになる。 ラストバトル直前で仲間の必死の説得で改心するまでそんな調子なので、仲間が最終決戦に向けて各々が各自の過去に決着をつけるという盛り上がる終盤戦で主人公が殆ど口を利かない、ほぼノーリアクションと言う、通常のRPGではとても考えられない作りになってしまっている。主人公が喋らないタイプの作品じゃあるまいし…。 ゲーム本編がそんな調子なので、ファミ通の攻略本の巻末にある設定解説コーナーで、わざわざシオンの心情を解説、フォローをするページまで作られる。 が、「自己中心的で場当たり的」「行動が本能的で筋がない」等、事実ではあるが、かなり毒っ気の多い前置き文が散見される。 また完結作品と名乗ってはいるが、実際は完結とはいえない はっきりと描写されず終わってしまった設定(メインメンバー「ケイオス」に関連した設定など)も多い。 + ネタバレ 簡単に今作のストーリーを説明すると、ゼノサーガの世界の宇宙は近いうちに滅びが待っており、あるキャラクターが「ツァラトゥストラ」とよばれるシステムで永劫回帰を行い、滅びる前の世界を再構築するというループ世界が築かれていたが、主人公らはそれを拒絶し「ツァラトゥストラ」を破壊する。というものである。 ただ「崩壊をどのように止めるのか」ということは一切不明で、とにかくツァラトゥストラを破壊し「宇宙を救う手がかりを探しに行こう!」というところで終了する。 攻略本では「崩壊に始まり未来の選択で終わる」と言われているが「完結というより打ち切り」と揶揄されることもある。 シオンが乱心した原因の超常的存在の干渉による生死についても本編ではどうなるか未知数のまま終了し、攻略本等で、相互理解によって死なずに済むのではないか、と書かれている。本編中に描写してやれ。 ゲームをクリアしたデータをロードすると、データベースが更新され、ネタバレを含む各キャラの説明や設定が明かされたりするが、そこで初めて目にする設定や心理描写もあり、クリアした後にデータベースを見ないユーザーには永遠の謎になってしまうものもある。後述のように攻略本の設定解説にクリア後までを含めた解説が収録されるが… エピソードIではメインストーリーの全てがムービーで描かれていたが、シリーズが進むにつれムービーの割合が減り、本作では大半のイベントが「スーパーロボット大戦」シリーズのような上下2つの会話ウインドウで描かれている。そのため前2作に比べ画面に動きが無い。 無論、動きの激しいムービーも従来通り収録されているが、会話のみのイベントなどは殆どこの形式である。 フルボイスで声優が読み上げてくれるので、ただ読むだけとはならない。詰め込める情報量も多くなった為かシナリオ自体は前二作より大分長くなっている。 しかし動きが無いためイベントの面白味も減少してしまっているのもまた事実。 当時公式サイトに掲載されていた前日談のフラッシュ動画『ゼノサーガ エピソードII to III a missing year』を観ていなければ冒頭の展開が意味不明。 前日談というよりは、エピソードIII本編の一部と言える内容であり、本編でやらないのが不思議な程。前日談未視聴でプレイ開始すると、アニメを数話飛ばして観せられたような状況に陥る。 シオンは前日談フラッシュで描かれる事件によって、それまで味方だったものと敵対、生活環境も一変し、本編の冒頭に至るのだが、ゲーム中はその経緯が一切説明されない。 シリーズを通して登場してきた"謎の少女「ネピリム」の正体と、彼女にまつわるエピソードも前日談フラッシュで描かれ、ゲーム本編では開始時から既に正体を知っている前提で物語が進む。フォローはキャラクター図鑑に僅かな説明があるのみ。 しかもこの前日談はソフト発売前後の期間限定配信である。後に攻略本に収録された(後述)とは言え、これだけ重要度の高いものを限定的な形で提供する手法には首を傾げざるを得ない。 ちなみに語られなかった設定は今作の公式攻略本に併記された設定資料集で補完という形になっている。 また上記の前日談も小説という形でこの攻略本に収録されている。 この前日談の小説版を執筆したのは、『ゼノサーガI・II』の脚本を執筆した竹田祐一郎氏である。そのためか、内容もややDS版よりの描写になっている。 「PS2版のエピソードII」の続編であり、DSで発売された『ゼノサーガI・II』の設定と照らし合わせると矛盾する点が非常に多い DS版ではシオンはメガネをかけたままだが、今作はかけていない。EPIIから突然メインキャラクターとなった「ハカセ」「スコットクン」がDSでは最後までサブキャラクター扱いで物語に絡まない。など。 これはDS版がPS2版と異なり高橋哲哉氏の原案脚本に忠実になぞらえた結果である。 ファンの中には、DS版エピソードIIの設定を引き継いだ本作を見たいとの声もある。 その他 一部SEがおかしい。特に足音。BGMより明らかに大きな音でコツコツと鳴り続けるため、悪い意味で耳に残り、良質なBGMの邪魔になっている。 総評 前作から大幅に修正され、システム面に関してはしっかりと改善がなされ、前作のように非常にひどい部分も見当たらなくなり、シナリオも許せる人は許せる程度になっているため、普通に遊べる出来までには回復している。 ただ、前作の悪評もあってか売上は18万本と前々作から半分以下にまで落ち込むというなんとも切ない最後を迎えてしまった。 余談 体験版の内部データ流出事件。 本作にはデータベースというものがあり、物語の進行に合わせてストーリーや用語集を読むことができるようになっている。体験版も同様であり、収録された序盤までのでデータを読むことができるようになっていたのだが、内部データとして本編のクリア後にアンロックされる部分まで入れてしまっていたため、解析により内容が流出してしまった。 悪意ある解析者によりキャラクターの設定・生死や、物語の結末までほぼ完全にばらされてしまったため、ストーリーを楽しみにしていたゼノシリーズファンにとどめを刺してしまった。 エピソードIIIでそれなりに物語が動くということがわかったため、IIでの物語の動かなさに不満だった人に対するプロモーションになったという擁護意見もある。もっとも売り上げ的には前作より減ってしまっており、大部分のプレイヤーが戻ってきていないことから、負の面の方が大きかったことにかわりはないのだが。 無論、一番悪いのは解析してそれを流出させた人間である。しかし、そもそも内部データとして仕込まなければこんな事にはならなかった訳で、それをストーリー重視のゼノサーガの、それも完結編でやらかしてしまった分、余計にタチが悪い。 本シリーズはまだモノリスソフト設立後間もなく始まったシリーズであり、組織作りをしながらの開発だった事と、経験の無い新人スタッフが多かった事などから、製作には大分難儀したとの事。高橋哲哉氏も当時は「自分たちの理想のゲームをつくるには、まだ難しいかもしれない。」と考えていたとか。 その結果、このような形で終わった事は氏を始めとするスタッフ一同にとっても相当悔しかったらしく、その悔しさをバネに後の大作『ゼノブレイド』を開発したと言う。 余談だが、本作のサウンドトラックは未収録曲が非常に多い。 収録曲数は40曲程度に対して未収録曲数は50曲以上と、未収録曲の方が多い。しかもサウンドトラックでは定番に近い通常戦闘曲も収録されていないなど、ファンからはかなり惜しまれている。
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ゼノサーガ エピソードII[善悪の彼岸] 【ぜのさーが えぴそーどつー ぜんあくのひがん】 ジャンル RPG 対応機種 プレイステーション2 メディア DVD-ROM 2枚 発売元 ナムコ 開発元 モノリスソフト 発売日 2004年6月24日 定価(税別) 通常版 6,980円 プレミアムボックス 17,800円 プレイ人数 1人 レーティング CERO 12歳以上対象 廉価版 PlayStation2 the Best2005年11月2日/2,666円(税別) 判定 シリーズファンから不評 ポイント 2004年クソゲーオブザイヤー大賞 雑魚戦のテンポが劣悪前作を蔑ろにし結末を歪めた元凶邪神モッコス ゼノシリーズ クソゲーオブザイヤー関連作品一覧 概要 前作からの変更点 問題点 賛否両論点 評価点 総評 その後 余談 概要 スクウェアから発売されたRPG『ゼノギアス』の設定を、スクウェアを離れたスタッフがナムコに拾い上げられて立ち上げたゲーム会社・モノリスソフトが再構成することで生まれた『ゼノサーガ』シリーズの2作目。 前作は、ムービーの量が非常に多かったが、ムービーの演出の良さや『ゼノギアス』譲りの濃厚なシナリオテキスト、光田康典の手掛ける音楽の質の高さもあってファンには概ね許容されており、売上自体も新規タイトルとしては良好な部類で海外でも評判は良かった。そのため続編への期待も高かった。 しかし、前作で総監督・脚本を勤めていた高橋哲哉氏が突然原案・監修という一歩引いたポジションに移り、殆どのスタッフが一新されていた。 その影響が祟ってか、非常に質の悪い作品となってしまい、ファンからの不評を買う事となってしまった。 前作からの変更点 キャラクターデザイン 前作は田中久仁彦氏のイラストに忠実な3Dグラフィックであったが、今作は8頭身に近いリアルなものになっている。 バトルシステム 前作にあった「ボタンの組み合わせによる必殺技」といった概念を必殺技ごと削除。全く新しいシステムとなっている。 まず攻撃に「上段」「下段」「空中」という3つの属性の概念があり、キャラクターはそれらの通常攻撃の組み合わせで敵を攻撃する。 敵には上記の3つの属性のうち2つの組み合わせが弱点として設定されており、敵に効率よくダメージを与えるにはうまく連続で行動して弱点をついていく必要がある。 コンボのためには敵の弱点を突いたり行動をスキップすることで貯まるストックと、敵を攻撃することで貯まるブーストゲージが必要。 ストックはキャラクターが連続で行動する為に必要なもので、1つにつき1回の連続行動が可能。ブーストゲージは次の行動順に強制割り込みするというもので、ブーストをかけ、敵の弱点を突いて敵をブレイク状態にすることで敵に与えられるダメージ倍率が上がる。 前作の「A.G.W.S.(エイグス)」に代わり、「E.S.(イーエス)」(*1)と言う巨大ロボットが登場。ロボットでダンジョンを動き回るなど、『ゼノギアス』に近いシステムも追加された。 「アニマの器」と呼ばれるリアクターを搭載し、特定の人間(アンドロイドであるKOS-MOS含む)しか操縦できないなど、『ゼノギアス』の「ギア・バーラー」を彷彿させる設定を持つ。機体名も『ゼノギアス』時代からのアニマの器の名称がそのまま採用されている。 その他 パーティーメンバーは前作の6人に加え、主人公シオンの兄であるジン・ウヅキが参戦。 ジンはキャラクター的に『ゼノギアス』のシタン・ウヅキを彷彿させ、名前だけではなく口調、武器、担当声優と共通点が非常に多い。前作では一部イベントとエンディングにチラっと登場したのみだったが、本作からようやく本筋に絡んでくる。 尚、前作のPVの時点からプレイアブルキャラのように登場していたが、製作の都合で今作まで活躍がお預けになったキャラである(*2)。 本シリーズは主人公であるシオンの視点から語られる物語であるが、本作は前作後半からの流れを汲み、パーティーのリーダー的存在であるJr.を取り巻く因縁が中心となっている。 シオン視点のパート自体が少ない訳ではないが、全体としてはJr.が実質的な主人公を務めており、ラスト周辺の展開に至っては完全に彼が主役である。その為、本来の主役であるシオンとKOS-MOSはやや影が薄め。 問題点 キャラクターデザイン 豹変したキャラデザに批判続出。海外需要狙いで中途半端にリアルなデザインに変更したことが完全に裏目に出て、日本のファンにも海外のファンにも受け入れられないという惨状。 攻略本のインタビューで、プロデューサーの萩原智洋氏はジギーを好きなキャラとして挙げているが、その理由の1つが「EP1のスタイルのままだから」というものだった。 更には後年、キャラデザ担当者が出した同人誌に「メーカー側からの命令だったが、やはり失敗だった」というメッセージが載せられた。 また、キャラデザ担当者はかなりデザインの路線変更に危惧しており、メインキャラ全員分の修正案を用意してメーカー側に上申したが、結局却下されている。この時のデザインも担当者の同人誌に掲載されている 前作のキャラクターデザインは田中久仁彦が『ゼノギアス』より引き続き担当しており、CGグラフィックも田中氏の絵を忠実に再現していた。 ただその忠実さゆえ「CGだと少し気持ちが悪い」とする者もおり、そういったファンからは「ほんの少し修正してほしい」と望む者もいた。だがあまりの大幅変更に、こういったファンからも批判されてしまった。 戦闘システム 前作で問題のあった戦闘のテンポは、一人行動するのに10秒近くかかるような長い必殺技がほぼカットされたものの下記の点が目立ち、根本的解決には至らなかった。 戦闘システムの意味を正確に理解しなければ雑魚ともまともに戦えない程戦闘バランスがキツい。 上記の弱点も通常状態では2連続行動しか出来ないため、ブーストを使わないと効果的なダメージが与えられない。 さらにダメージの倍率を上げるには敵を打ち上げるか地面に這いつくばらせることが必要だが、ブーストしなければその状態を継続できないため一気に畳み掛ける以外の選択肢がとれない。 そのため、戦闘開始して先ずやることは、相手の弱点探しとストック溜めとブースト溜め、エーテルで敵の弱体化の繰り返し作業となるので、雑魚戦でも戦闘開始から畳み掛けるということができない。 敵の攻撃力は全体的に高めで、また敵もブーストゲージで行動割り込みを掛けてくる厳しいバランスのため、確実に敵の頭数を減らしていかないと雑魚相手でも全滅確定。 逆に味方の攻撃力はコンボを前提とした低めの設定になっており、一人で殴りに行くよりは回復かストックしてたほうがマシな場合が多い。 勿論、敵の方は開幕からガンガン攻めて来る。こちらがコンボの準備に勤しんでる最中でも容赦無く殺しに掛かるので、それに耐えながらひたすらコンボ準備作業をしていかなればならない。ボス戦ならまだしも雑魚戦で毎回これをやらされるのはひたすら苦痛である。 このためボス戦では(後述)頭を使う歯ごたえのある戦闘を楽しめるシステムではあるものの、後半になればなるほど雑魚との戦闘テンポが悪化していく。 また必殺技が消失した事で、戦闘の派手さがほとんど無くなり、エフェクトが全体的にしょぼい事も相まって非常に地味な戦闘となってしまっている。 ストーリー面 ライターが『フロントミッション サード』などでシナリオを担当していた米坂典彦氏に交代した。 前作で高い評価を得ていた台詞回しが全体的に稚拙となり、シナリオ面でも前作と整合性の取れていない点が多数見られる。『FM3』は別物感こそあれ評価は高かったのだが…… 前作や『ゼノギアス』のような高橋節に近付けようとして近付ききれておらず、中途半端に意識した所為か、深い台詞にしようとしてスベっていたり同人臭がする言い回しが少なくない。 脈絡のない場面転換から始まり、ストーリー中盤の重大イベントをナレーションで補完し、次に操作可能になった頃には全く状況が変わっているという『ゼノギアス』のDISC2(*3)のような展開がある。 EP1からの伏線は大方無視。しかも伏線が集中していた惑星は木っ端微塵に。 意思疎通が出来ない設定であるはずの敵が、普通に共通言語をしゃべり始める。 一作目で主人公であった「シオン」はとても社交的な性格をしていたのだが、今作以降自己中心的な性格(独断行動やヒステリックな言動、暴言を吐くなど)に変化していく。 EP1でも強情な面を持つことは描かれていた(試験中にマニュアルに無い行動を起こす、会社からの命令に反発して上司に噛み付く等)ため、性格がまったく変わってしまっているというわけでもないが今回は顕著になっており、それに対する心理描写が足りなすぎる。 DS版では今作のような描写はなく、そういった言動をするシーンにもしっかりとした心理描写によるフォローが入っている。 また、シオンはメガネをかけたキャラクターなのだが、今作では特に重大な理由もなく破壊される。 しかし、このメガネは実は重要な意味がある物だったことがDS版にて明かされる。なぜ重要な設定物を破壊したのか謎。(*4) それ以前にEP1のムービーをしっかり見ていれば分かるが、メガネのレンズ部分はホログラムであり、実体化しているのは鼻当ての部分だけでフレームと耳当ては存在しない。つまり本来破壊すること自体が不可能な構造である。 完結編のシナリオも米坂氏が手がけており、今作に比べれば改善されてはいるもののキャラクターの変わり果てた性格や台詞回しには依然として否定的意見が多い。特にシオンの自己中心的な性格は更に悪化している。 新キャラクター関連 メインキャラから脇役に至るまで濃い面々が揃っていた前作に対し、今作からの新キャラはストーリーに深く関わるカナンやサクラはともかく、敵側の新キャラは魅力に乏しく印象の薄いキャラばかり。 何度か戦うヘルマンとリヒャルトは機体に乗るばかりでなんと顔出しせず。キャラクター的には薄い訳ではなく、後にE.S.搭乗者になるようにそれなりに重要なポジションのはずなのだが、この所為でひたすら印象が薄い。 後にDS版で立ち絵が与えられ、初めて素顔が明かされたがPS2版ではEP3でも結局素顔で登場する事は無かった。 オルグイアというキャラは登場したと思ったらそのまま倒されて死亡で掘り下げも無いという正真正銘のポッと出キャラ。印象を残そうとしているのか口汚い罵詈雑言と敬語を混ぜたりするが、功を奏しているとは言い難い。人間ボスとしてはゼノシリーズでも稀に見るポッと出ぶりである。 DS版では影も形も存在しない。高橋氏の原案にはいなかったキャラなのだろうか? 演出面 BGMの選曲がおかしい。 敵対組織の幹部同士のシリアスな会話シーンでヒップホップが流れる等、まったく場面の空気が読めていない。 ムービーの出来が完全に終わっている。 どこからどう見てもPS2とは思えない、PS初期レベルの悲惨なクオリティのムービーが大量にある。リアルタイムレンダの方はかなり完成度が高いのだが、なぜムービーの方がレベルが低くなるのか。 『ゼノサーガシリーズ』にて「ストーリー」「演出」は最重要事項であり、そういった魅力が大量に削がれた衝撃は大きかった。 音量の調整がおかしい部分がある。 一部の戦闘中、味方のセリフの音量は低いのに、敵のセリフだけ大音量になる。 G2キャンペーンというサブイベント要素が大量にあるが、ストーリー的な面白みが殆どない純粋なお使いばかり。 サブイベントなのだから無理にやる必要は無いと言いたい所だが、G2キャンペーンをクリアしないと効率の良いアビリティが手にはいらないため、結果的にこのサブイベントをクリアしないとストーリーを効率よく進められない。 前作がストーリー的に自由度が高い作品ではなく、サブイベントも少なめだった事から、「自由に楽しめる寄り道要素がもっと欲しい」と言う声は多く、それに応えたものと思われるが余計に自由度が低下しており、不満が高まってしまった。 後身となる『ゼノブレイドシリーズ』もサブイベントが豊富だが、あちらのような探索の面白さを備えたゲームとは方向性が異なり且つストーリー重視の本シリーズとは相性が悪かった。また、純粋に面倒くさいだけ依頼も少なくない。 中でも「借金返済イベント」は、非常に面倒なものになっている。 100万Gの借金を返さなくてはならないが、本作の換金アイテムは安くて200G、高いレアアイテムでも4,000Gと目標金額に対して売値が安すぎる。装備品や消耗品も売れるが、それでも100万Gにはなかなか届かない。 攻略本の解決策は「ラスボス(後述の実質的なラスボス)を18回倒して、手に入れたアイテムを売ろう」というもの。本作は、クリアデータをロードすると実質的なラストダンジョン直前から始まる仕様になっているが、「実質的な」とあるようにその後で正式なラストダンジョン&ラストバトルが続く(後述)為、エンディングまで地味に時間がかかる。 18回スタッフロールを見ることになるが、スキップ不可能である。ちなみに前作はこう言った要素が無いにも拘らずスキップ可能だった。 そもそもマシューズ船長を定義付けしているとされる借金を返済してしまっていいのだろうか。 ちょっとした選択ミスで失敗になってしまうイベントも存在し、やり直しも出来ない。 挙句の果てに、最後の依頼は「G2キャンペーンの達成率を競う」で、ほぼ全ての依頼を成功していないと失敗するという無慈悲なもの。一応、成功でも失敗でも報酬は変わらないが心情的には良いものではない。しかも報酬が連携技というのも今更である(*5)。 ゲーム的な意味でラスボスと言えるようなキャラクターが存在しないことに不満を持つユーザーもいる。 どういう事かと言うと、本作のラストダンジョンはザコ敵が一切存在しない長い一本道を抜けるだけで、ラスボスとの最後の一騎打ちもイベントのようなものなのである。従って、上述したようにその前のダンジョンが実質的なラストダンジョン。そこのボスが実質的なラスボスとなる。つまりラストダンジョン一歩手前のダンジョンをクリアした後は、長いエンディングを見るようなものである。 ちなみに実質的なラスボスはと言うと、見た目は普通の老人が後ろに破壊兵器を従えているもの。実際には戦うのは老人の方で、後ろの兵器は思い出したように強力な攻撃を放つのみ。ビジュアル的にもラスボスらしさは薄いし、こちらがコンボを叩き込む様子は老人虐待にしか見えず爽快感は無い(*6)。名前も個人名ではなく役職名である。 「人型のボス戦で後ろの巨大兵器がたまに攻撃してくる」というシチュエーションは次回作にも登場するが、人型ボスを倒して終了だった本作に対して、そちらは人型のボスを倒した後に後ろの兵器とのロボットバトルに移行するようになっている。 『ゼノギアス』も実質的なラスボス戦の後に真のラスボスとの一騎打ちという構成であり、他にも似た作品はいくつも存在する(*7)が、それら作品は実質的なラスボスが設定上ラスボスに相応しい存在であり、最後の一騎打ちもストーリー・演出面とも噛み合った構成でエンディング前を盛り上げていた。 対して本作は実質的なラスボスが見た目・設定・最期が今一つ且つ、撃破後は一旦そこでストーリーが区切られる(*8)為、それら作品のような盛り上げ方が出来ているとは言い難い。 そのためかDS版ではラスボス周りはガラリと変更されている。 用語集の廃止 前作ではメニュー画面の「U.M.N」から参照できた用語集が廃止されてしまった。専門用語が非常に多い上に難解な用語が多数登場する本シリーズでは致命的であり、もし用語の意味が判らなくなったら後は話の流れから推察するしか無い。 更には二作目である事もあり、前作をプレイしていないと理解出来ない用語が多いにもかかわらず、である。 一応、宇宙港で前作のあらすじを振り返る事程度はできるが、簡潔な文章のみなので把握は難しい。 その他 本作では武器や防具などの装備が存在しない。上記のキツいバトルにおいて頼みの綱は己のパラメーター、スキル配分、戦略のみとなっている。 店や宿屋と言った施設が削除された。今回はセーブポイントで回復できるので宿屋は問題無いが、ショップが無い所為でアイテムは全て宝箱かドロップで入手しなければならず、無駄遣いは許されず常に節約が求められる。 ロード時間はかなり長めで、敵に接触してから戦闘に入るまで時間がかかる。 画面が割れる→戦闘画面の破片がくっついて表示される演出の後、味方と敵が一体ずつ表示される。しかも処理落ちも込み。 前作ではクリアデータがロード出来ない問題があり、本作でそれを読み込ませる形で報われるかと思いきや…。 なんとKOS-MOSとジギーの水着が貰えてスキルポイントにボーナスが付くだけ。(前作の問題でもあるが)ロード出来ない仕様にしておきながらこれでは前作での努力が報われない。 賛否両論点 音楽 前作の光田康典氏から交代し、NOIRや.hack//SIGNなど主にアニメの劇伴音楽を手がける梶浦由記氏がイベント部分の楽曲、ゲーム部分を細江慎治氏が楽曲を作曲した。 前作ではゲーム部分は一部ダンジョンや敵襲時、戦闘以外は無音だったが、今回はしっかり全てのマップに専用BGMが用意された。 バトル曲もラスボス以外は全部同じという事はなく、ボス曲が追加され、更に戦闘曲も生身とロボットバトルとで個別のBGMが用意されている。 だが前作のクラシック系の音楽からサイバーチックな音楽となってしまったため、世界観にあっていないと批判する声もあり賛否両論。 通常戦闘曲等も、前作と雰囲気が違いすぎて賛否両論。 挿入歌やED曲が、『ゼノギアス』及び『EP1』でED曲や主題歌を歌っていたJoanne HoggからMargaret Dornに変更された。 評価点 戦闘面 ボス戦では弱点がわかっているならガンガン弱点コンボを稼いで大ダメージを与えられるという爽快感がある。そのためボス戦はそこそこ評判が良い。ただし予め弱点の情報を得ていないとやはり弱点探しの作業から始めないといけないが…… また、属性値といった概念がわかれば、ストックとブースト溜めの作業は挟まるものの、戦略的な戦闘が可能。戦略性ならシリーズの中でも高めの部類である。 光る部分は少なからずあったため、テンポさえ良ければと惜しむ声もあったりする。 シナリオ面 整合性の怪しさ、伏線無視など問題も多いが、Jr.とアルベドやM.O.M.O.を巡る確執など見所が無いわけではない。 特にそのキャラクター性で人気を博したアルベドは今作においてもブレる事なく相変わらずぶっ飛んでおり、その点については妙な安心感がある。 演出面 E.S.での戦闘、ジンとマーグリスのチャンバラ、市街地での逃走劇など全体的にアクションシーンが増えており、前作とのギャップや演出が合っているかと言った点を別にすれば見応えのあるムービーは少なくない。 音楽面 上記にもあるが、本作の雰囲気に合っているかという賛否こそあるものの、特に梶浦由記氏の手がけた音楽の人気は高い。 単品・ソロアルバムで聴く分にはむしろ良作の宝庫。問題は、演出面での使いどころが異常なほど悪かったということである。 サウンドトラックの評価でも「今作での唯一の評価点」とも言われている。 後のインタビューで「最初『仕事は3つぐらいかも』と思っていたので、弦楽器を使う楽曲は本格的に手を付けていなかったんです。でも『このままでいいのか? もっと弦の勉強をしないといけない』と思って、スコアを買って勉強や研究をはじめました。その曲が出来た時に、一歩上へ行けた様に感じました。」と当時の仕事を「正に転換期でした」と称していた。 背景グラフィック 背景グラフィックはシリーズ通して非常に美麗である。水なども特に美麗。 前作のかゆいところに手が届くようになった 前作のセーブデータを引き継ぐとジギーとコスモスの水着が手に入る。前作ではこの二人だけ水着がなかったので、本作でやっと水着を拝めることになる。 前作ではクリアデータ作成後はそのデータをロードして遊ぶことができなかったが、本作では可能になった。 更にクリアデータでは複数のエクストラダンジョンに挑戦可能になり、裏ボスもダンジョン数以上に存在する。クリア後もやり込む事が出来る。…気力が持てばの話だが。 総評 前作からスタッフを一新したものの、功を奏することなく殆どの面でクオリティが一挙に低下し、目も当てられない出来栄えと化してしまった。 その後 本作の批判を受けてか、完結編の『ゼノサーガ エピソードIII ツァラトゥストラはかく語りき』ではキャラデザインや音楽、戦闘のテンポに大幅な見直しが施された。 また後にDSで前作『I』と今作を1つのソフト内にまとめた上で、『II』部分を大幅に作り替えたリメイク『ゼノサーガI・II』が発売された。 これら2作がどのような評価となったかは、該当記事を参照してほしい。 余談 限定版「プレミアムボックス」の特典である、ヒロイン「KOS-MOS」のフィギュアの不気味さが話題となり、今尚伝説として語り継がれている。気になる方は以下の画像を参照。絶望を味わうことができるだろう。 あまりの酷さに付けられたあだ名が「邪神モッコス」。以降、顔の出来が極端に不気味なフィギュアに対して「邪神像」という呼び名が定着した。邪神崇拝サイトなるものまで存在するほど。 ちなみに英語でも「Jashin MOK-KOS」あるいは逐語訳で「Evil God MOK-KOS」となっている。 このプレミアムボックス、上の基本情報表にもある通り通常版より1万円以上も高い。ビジュアルブックやバイクフィギュアなども特典に含まれるとは言え、どう贔屓目に見てもこの「邪神像」だけで数千円は取っている計算である。 なお、この「邪神」は、後にモノリスソフトで開発された『無限のフロンティア スーパーロボット大戦OGサーガ』でネタとして使われている。 + 邪神モッコスの御姿 座ったポーズになっているのは同梱のバイクフィギュアに搭乗させるためである。よく勘違いされるが、固定フィギュアではない。 + ゲーム中のキャラデザとの比較 ゲーム内のデザイン フィギュア このように、実は結構再現度が高い。元々のキャラクターデザインの改悪も悪印象の一端を担ったと言える。 上述のようにDS版では本作部分は大幅に作り替えられており、途中のストーリーに相当手が入っているのは勿論の事、ラストバトル近辺は最早別物である。 真のラストダンジョンはパーティ全員で参加する普通のダンジョンになり、エンカウントはするし、中ボスも複数登場するそれらしい構造になっている。ラストバトルも一騎打ちのイベントバトルではなく通常通りの三人パーティで戦う。敵の強さもラスボス相応になった。 また、実質的なラスボスに関しても生身の本人ではなく、後ろの兵器とのロボットバトル(E.S.戦におけるラスボス)に変更された。PS2版ではこのダンジョンの最初の中ボスが本編におけるE.S.のラスボスだった為、E.S.戦闘においてもラストバトルらしい雰囲気が高まっている。 前作の登場人物であるU-TIC機関の「少佐」はその強烈なキャラクターや、『ゼノギアス』の「ヴァンダーカム」同様の顔のペイント(+から×になっている)から、僅かな出番ながら奇妙な人気を得ていた。名前は明言されないものの、『I』作中で「ヴァンダーカム少佐」という名前が登場している(*9)為、多くのプレイヤーに彼の名前と見做されている。 その少佐は今回は声のみの登場ながら、戦艦の主砲を操作して主人公達と戦うという『ゼノギアス』のヴァンダーカムを彷彿させる役割となっている。 DS版では主砲ではなく機動兵器に乗って襲いかかってくるのだが、その機動兵器はPS2版『I』の中ボスだった「プロト・ドーラ」(*10)。明らかにゼノギアスファンに向けたサービスである。 挙句、『ゼノブレイド』にはフェイスペイントこそ無いものの、少佐と声優が同じで「ドーラ」という自走砲を所持する「ヴァンダム」が登場している。更に後のシリーズにも「ヴァンダム」の名前を受け継ぐキャラが毎度のように登場しており、スタッフに相当愛されている事が窺える。 俳優の吉高由里子氏は本作のTVCMでデビューを飾った。 後年、「社長が訊く」や「4Gamer.net」のインタビューにて高橋氏は本シリーズについての生々しい実情について語った(参考)(参考2)。 前作はまだ会社を立ち上げたばかりの頃の製作で、描画エンジンが完成したのがマスターアップの半年前。開発期間は約二年だったが、それまではムービーを作り込むしか無く、ゲーム部分は最後の半年で一気に作らざるを得なかったという。ムービーゲーになった理由はこういった所にもあったようだ。 会社の組織作りをしながらの開発だった為、人が集まらない上にプランナーもプログラマーも新人ばかりと言う状況だった。 一方でスタッフの中にスクウェアのCG室出身の人物がいた為、エンジンが無くともムービーだけならいくらでも作れたとか。 上記の通り人もなかなか集まらず、予算も時間も目減りしていく中、休みなしで開発を続ける…という過酷な環境だった『I』の反動により、本作『II』ではスタッフ全員が「限られた期間と予算の中でできることをしよう」という正反対の方向に振れてしまったらしい。それによる様々な妥協の結果、完成した『II』は確かに予算内に収まったし制作現場は不夜城ではなかったそうだが、肝心のゲームはこのような出来栄えになってしまった。 『II』が予算内に収まったという事で次回作『III』も当初は同じスタンスで始めたが、ユーザーからの厳しい声を受けて「このやり方は間違っている」と途中から大きく舵を切り直したらしい。しかし既に開発は進んでおり、最後まで直しきることは出来なかったそうな。 実際、『III』が本作からの改善点がいくつもあれど、まだ微妙な点が多いはこういった背景によるものなのだろう。 しかしこの紆余曲折はモノリスソフトにとっても大きな財産となり、後のゼノブレイドシリーズのヒットもこの経験を糧としたからこそあると語られている。
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ゼノサーガ エピソードII[善悪の彼岸] 機種:PS2 作曲者:梶浦由記(ムービーパート)、細江慎治(ゲームパート) 開発元:モノリスソフト 発売元:ナムコ 発売年:2004年 概要 ゼノサーガシリーズ第2作目。 音楽が前作の光田氏から梶浦氏・細江氏へと変更になった。 ムービーパートの音楽は梶浦氏らしくボーカルを駆使した曲が多い。 また、ムービーシーン以外の音楽を細江慎治氏が作曲している。 サントラは何故かムービーパートのみの収録となっており、未収録曲がかなりある。 収録曲(サウンドトラック順) 曲名 作・編曲者 補足 順位 Disc 1 in the beginning, there was... 梶浦由記 歌:Deb Lyons first meeting 歌:Deb Lyons Xenosaga II opening theme ゲームソング369位 assault 歌:Deb Lyons strain~Jin 歌:Deb Lyons here he comes fatal fight (Jin Margulis) 歌:Deb Lyons 第5回415位ゲームソング331位第2回ゲームソング246位 R D report chase surrounded lamentation Albedo communication breakdown Sakura (theme-piano ver.) Sakura #2 (theme-simple voc.ver.) 歌:Margaret Dorn strained Jr. #2 歌:貝田由里子 strained #2~Albedo #2 in the beginning, there was... #2 歌:Deb Lyons battle of Elsal here she comes (KOS-MOS) battle of Elsa #2 gate out Disc 2 here he comes #2 梶浦由記 歌:Deb Lyons creeping fear U-DO~Febronia final crisis presentiment~Jr. #3 a field of battle~bitter #2 歌:貝田由里子 inside~Sakura #3 歌:貝田由里子 I am free Sakura #4 (theme-gentle strings ver.) Sweet Song (Xenosaga II ending theme) 歌:Margaret Dorn Jr. 歌:Margaret Dorn Jr. #4 fatal fight #2 歌:Deb Lyons bitter 歌:貝田由里子 Nephilim the image theme of Xenosaga II #piano ver. 歌:Deb Lyons the image theme of Xenosaga II 歌:Deb Lyons サウンドトラック Xenosaga II-善悪の彼岸-MOVIE SCENE SOUNDTRACK
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605: 名無しさん(ザコ) :2014/06/04(水) 05 41 34 ID 9526JdLA0 E.S.ディナ(EP2)(ゼノサーガ) アニマの器に外装を取り付けた兵器、E.S.(エイン・ソフ<神なるもの>の略)の1機。 ヴェクター・インダストリー社の所有だったはずだが、主人公シオン=ウヅキが勝手に持ち出した挙句に退職後も私物化している。 設定では普及しているロボットを大きく凌駕する能力を持っているはずだが、HP4500、装甲1200、運動性80とスペックはあまり高くない。 装甲や運動性では同フォルダ内ではばらまきザコにも劣ることも。 メインパイロットのKOS-MOSは命中回避が低い上、集中しか持っていないのでサポートパイロットによっては苦労することになるだろう。 武装面は一見数が多いように見えるが、サポートパイロットに応じて変化するだけで実際には4種類~5種類になる。 とはいえ射程4で攻撃力1600と、射程2Pで攻撃力1800があれば対ザコで困ることはないだろう。 シオン=ウヅキかジン=ウヅキを乗せると必殺技が2つになるので、基本的にはこの2人のうちどちらかをサポートに乗せるといいと思われる。 KOS-MOSに欠けている命中回避SPも、シオンは必中ひらめき、ジンは心眼で補える。 シオンを載せた場合、3PM全で攻撃力2900という壊れ性能のマップ兵器が使えるようになる。 しかも、シオンが熱血、KOS-MOSが痛撃を覚える。この火力に擬似3倍コンボが乗って、月光蝶も真っ青な威力が出る。 さらにKOS-MOSは反応165あり、覚醒まで習得。 これで幸運があれば完璧だったのだが、残念ながらそこまでは持っていなかった。 もう1つの必殺技は2400の2Pと便利ではあるが、X‐BUSTERのためにENを温存したいのであまり使う機会はないだろう。 ちなみにジンを乗せた場合の必殺技は2600の双龍斬と3400の斬鉄刃。 攻撃力だけ見ると高いが、KOS-MOS・ジンともダメージSPが痛撃止まりのため、実質的な火力はシオンを乗せた場合に比べてあまり伸びない。 ただし、習得は遅いがKOS-MOSがみがわり、ジンがド根性を覚えるのでみがわり屋として運用することもできる。 E.S.ディナ(EP3)(ゼノサーガ) EP2に比べて装甲が200上がり、空が飛べるようになった。 とはいえ適応は空Bだし、装甲も1400で鉄壁堅牢なしと頼りない数字にとどまっている。 サポートパイロットによる武装変化がなくなり、KOS-MOS&シオン固定になっている。 武装は大幅に変化している。 2P武器が1つだけで火力も1400と下がったが、無消費は1600にあがった。 また、1-4射程で1900と2200、1Pで2500の中間武装が追加されている。 ただし燃費が悪いユニットなので、必殺技のENを残すことを考えると1900以上の武装は使いにくい。 マップ兵器X‐BUSTERは健在だが、火力は2800に下がっている。 Pもなくなり、範囲はM扇L3とだいぶおとなしい性能になった。擬似3倍コンボを考えればこれでも十分以上の性能だろうが。 さらに、EP2ではマップと2択だった3400の必殺技が普通に使えるようになっている。 熱血+痛撃をかければ、スーパー系の頂点クラスには遠く及ばないまでも、かなりの火力が出せる。 ただ、武装がすべてEN式なこともあり、アイテムで補わなければマップか必殺技のどちらかしか使えないのが残念なところか。
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https //dengekionline.com/soft/recommend/xenosaga/index.html インタビュー『ゼノサーガ』 - 電撃オンライン https //nlab.itmedia.co.jp/games/ps2/xeno/staff/01/index.html SOFTBANK GAMES PS2 「Xenosaga EPISODE I」スタッフインタビュー INDEX https //www.bandainamcoent.co.jp/cs/list/xenosaga1_2/interview/ ゼノサーガ I・II | 原案・監修高橋氏・脚本竹田氏スペシャル対談! | バンダイナムコゲームス公式サイト https //www.4gamer.net/games/368/G036837/20190416018/ 「ゼノサーガ」の紆余曲折が「ゼノブレイド」を生んだ――不定期連載「原田が斬る!」,第7回はゼノシリーズ総監督の高橋哲哉氏にモノリスソフトの今を聞いた - 4Gamer.net https //news.denfaminicogamer.jp/interview/180202 「ゼノブレイド」高橋哲哉 ×「ペルソナ」橋野桂:対談──作家性とは何か? 世界で評価されるJRPGの旗手が掲げる美学をめぐって https //www.4gamer.net/games/368/G036837/20171130058/ 「ゼノブレイド2」総監督・高橋哲哉氏インタビュー。ネタバレを避けつつ「アルスト」の背景や,各種システムの意味合いについて聞いてみた - 4Gamer.net https //www.nintendo.co.jp/wii/interview/slsjsx4j/vol1/index.html 社長が訊く 坂口博信×高橋哲哉 https //www.nintendo.co.jp/wii/interview/sx4j/vol1/index.html 社長が訊く『ゼノブレイド』 https //automaton-media.com/articles/newsjp/20170616-48986/ 高橋哲哉氏が海外紙に『ゼノギアス』のディスク2問題について語る「正しい選択だったと思う」 | AUTOMATON
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Xenosaga LEGEND ゼノサーガ レジェンド 2007年3月発売 735円 発売元:株式会社 バンダイ ラインナップ 名前 備考 コスモス[ver.1] 2色 コスモス[水着] コスモス[ver.3] コスモス[ver.4] 2色 テロス その他 名前 コメント